[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

社会保障協定の一層の締結促進を求める

2006年10月17日
(社)日本経済団体連合会
(社)日本在外企業協会
(社)日本貿易会

世界経済のグローバル化が著しく進展し、企業活動がボーダレス化していく中で、我が国企業が伍して海外企業と競争していくためには、より自由かつ柔軟な企業活動を可能とするビジネス環境が早急に整備されなければならない。

このような中、我々3団体は、さきに「社会保障協定の早期締結を求める」(2002年9月17日)と題する要望をとりまとめ、海外駐在員の公的社会保険料の二重払いが企業の大きな負担となっている実態を明らかにし、二重払いを解消するべく先進諸国との社会保障協定を早急に締結するよう求めてきたところである。

この間、米国をはじめとする5カ国との協定締結が実現し、我が国の協定締結国は7カ国となった。この結果、これら協定締結国との相互の経済交流は、将来にわたって一段と活発化していくものと期待されている。

一方、米国はすでに20カ国を超える国々と協定を締結しており、フランス、カナダに至ってはすでに40カ国を超えている。

このような状況をふまえて、貿易立国、投資立国である我が国としては、下記により諸外国との協定締結を一層促進すべきである。

1.協定締結の促進

このほど我々3団体では、ASEAN、EU、中南米の24カ国を対象に現地日本人商工会議所等の協力を得て社会保険料の実態調査を行い、社会保険料の二重負担規模の試算(別添、「諸外国における社会保険料の二重払い規模試算」 <PDF> 参照)を行った。この結果、13カ国において二重負担が生じており、特に二重負担規模が大きい国は、イタリア(45.0億円)、チェコ(29.0億円)、ブラジル(21.4億円)、スペイン(12.9億円)、ハンガリー(3.0億円)などであった。また、チェコについては、チェコ日本商工会から協定の実現を切望する要請も受けているところである。
政府においては、鋭意、社会保障協定の締結に向けた予備協議、協定交渉が進められているところであるが、今後の協定交渉にあたっては、同調査結果もふまえ、より多くの国との協定締結を早期に実現願いたい。

2.国内包括特例法の整備

社会保障協定は、協議開始から協定が発効するまでかなりの期間を要している。また、この間、国会においては協定の承認審議とあわせて、協定と関係国内法との調整を行うための特例法案が上程され、二本建ての国会審議が行われている。
しかしながら、これまでの法案成立の経過を省みると、結果的には全会一致の賛成を得るにもかかわらず、国会審議の日程において厳しい局面に立たされることが多い。
国会審議の遅れにより協定発効が延期されれば、本来、負担する必要のないコストを企業が負担し続けなければならず、多額の損失を蒙ることとなる。
ついては、これまでの特例法案がすべて全会一致にて可決されてきたことに鑑み、協定締結国毎に審議されてきた特例法を包括特例法として整備し、同法制定後の国会審議は協定承認審議に一本化願いたい。

以上

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