賛同団体
2007年4月25日、われわれG8各国主要経済団体トップは、ベルリンに集まり、世界経済をめぐる緊急課題について話し合った。それらの課題およびそれらに関するわれわれの考え方は、ハイリゲンダムで開催されるG8首脳会議で取りあげられ、検討されることになる。
本年のG8首脳会議が「成長と責任」をテーマに開催され、世界経済が直面する中心的な課題に対応しようとしていることを歓迎する。G8参加国は、今なお全世界のGDPの63%、世界の直接投資額の60%、世界の貿易額の50%を占めている。他方、新興国も世界経済において重要な役割を果たしつつあり、グローバル・ガバナンスに機会と課題の双方をもたらしている。
こうした課題の解決策を見出すにあたって、経済界は大きな役割を果たす。各経済団体の会員企業は世界経済に深く関わっている。それら企業は、経済活動、貿易、投資、技術革新の主体である。企業は成長と繁栄の原動力であるとともに、雇用を創出し、社会的インフラに必要な経済基盤を構築する。人類が直面している諸問題の解決に寄与する革新的能力を有している場合も少なくない。経済界は政府と協力して課題に取り組み、それらを解決する責務を負っていることを十分認識している。
既存の政策が適切なものであるかどうかを常に見直し、適宜、新しい政策指針を確立するのは政治の責任である。これに関して、G8各国首脳は二つの課題に直面している。第1に、競争が激しくなる中、企業の国際競争力を維持するための条件にこれまで以上に注意を払わなければならない。第2に、効果的に対応するためには国際協力がますます必要なことを認識しなければならない。特に新興国との対話を強化しなければならない。グローバル化の実現はG8諸国だけの課題ではない。
そこで、われわれはG8各国首脳に対し、ハイリゲンダム首脳会議の期間中にしかるべきイニシアチブと対応を定め、それらを促進、実行するよう求める。G8各国政府が、貿易システム、国際投資制度、資本市場の効率性、知的財産権保護のための体制とルールをめぐる多くの課題を取りあげるとともに、あらゆるエネルギーの利用可能性を閉ざすことなく地球環境問題を議論するよう、要望する。G8各国政府は、これらの重要分野でしかるべき政策を策定し、実施しなければならない。そうすることが、国際的な企業活動による持続的な経済成長を促し、経済発展に不可欠な富の創造につながる。
WTOドーハ・ラウンドが成功裏に妥結されれば、経済成長、貧困の減少、途上国の世界経済への統合が促進され、貿易と投資の拡大に必要とされるグローバルな枠組みが整備される。しかしながら、交渉は5年間続いているものの、実りある成果は未だ得られていない。その間に、G8の一部の国では保護主義的圧力が高まっている。
知的財産の侵害は、経済界、各国政府および消費者にとって、依然として深刻な世界的な問題である。政策と法律を整備している国でも、その実効的な執行が欠けている。技術革新を促し、製品の品質と安全性を確保するためには知的財産の保護が不可欠である。
もう一つの課題は、様々な分野で政府による介入が顕著になってきているという点である。その目的は、国家安全保障強化の名の下に対外投資の阻止・阻害をすること、あるいは国家経済の「戦略的分野」を保護することにある。皮肉なことに、介入主義的とされる主な国の中に、投資家の権利を十分に保護した開放的な政策によって大きな利益を得てきたG8参加国が含まれている。国家安全保障を確保することは正当な行為であるが、裁量的な差別的政策や不必要に厳しい規制の口実に利用したり、商業的に優位に立つために利用してはならない。
国際資本市場が効率的に機能することは、世界の成長と繁栄にとって極めて重要である。最近数年間、ヘッジファンドは資本市場において重要な役割を果たしてきた。ヘッジファンドに関する透明性を高めることは、市場の規律を高め、リスクを軽減することにつながる。
グローバルな規模で気候変動が進む中、緩和策、隔離策、あるいは適応策を通じて、それに伴うリスクに対処しつつ、官民が連携してエネルギー需要の増加に対応することが極めて重要である。持続的な経済成長を促すような形でエネルギー効率を大幅に上昇させることが、先進国にとっても新興国にとっても長期的な利益に適う。経済界は、既にエネルギー効率の改善と新しいエネルギー技術の開発に取り組みつつある。政府が一貫した、調整のとれた長期的な政策を打ち出すことによって、経済界は問題解決に向け実効的な取組みを行うことができる。
アフリカを取り巻く経済環境が改善されてきた。即ち、一部の国に見られた紛争は解決され、平均成長率も伸びた。しかしながら、インフラの未整備、教育や医療の不足、公的部門のガバナンスや経済運営の未熟さは依然として続いている。経済発展の原動力となるのは民間部門である。したがって、貿易と民間投資の促進なくして貧困削減戦略の成功はない。ただし、民間部門が関与するためには、しかるべき枠組み環境が必要である。