創造的改革を推進し、社会と未来への責任を果たす

2007年度総会決議

2007年5月23日
(社)日本経済団体連合会

わが国は、グローバル化に伴う大競争の激化や地球環境問題への意識の高まり、人口減少社会の到来など、大きな変化に直面している。日本経済はたしかな足取りで回復から拡大へと向かっているが、持続的な経済成長を確保し、さらに成長力を高めるためには、民間や地域の活力を最大限に引き出す以外に選択肢はない。

企業活動は付加価値の創造そのものであり、雇用の維持・創出、安全・安心で夢のある製品やサービスの提供を通じて、国民生活に豊かさをもたらす。われわれは、イノベーションによってさらなる競争力強化の主体となり、自らが成長の牽引役を担う気概をもって事業を展開する。そして、強い倫理観に基づく活動によって、積極的に社会的責任を果たす。

大競争は、各国の制度間競争の荒海でもある。「希望の国、日本」を実現するためには、大胆かつ創造的な視点をもって、経済や社会のあらゆる分野において構造改革を成し遂げることが不可欠の要件となる。

日本経団連は、この国の社会と未来への責任を強く自覚し、政策を機軸として政治との関係を強化するとともに、各界各層と透明で公正な関係を構築し、以下の諸課題の解決に向け、総力を結集することを決意する。

1.民間活力を引き出し、持続的成長を確実なものとする

  1. (1) 規制改革・民間開放を推進し、新産業創出や公共サービス効率化を促す。
  2. (2) 科学技術政策の強化によるイノベーションの加速、ICTの高度利用推進や物流効率化による生産性の向上を図り、産業の競争優位を確保する。
  3. (3) 金融の国際競争力を高め、持続的安定成長の基盤とする。
  4. (4) 国際展開やマルチユースの推進によりコンテンツ市場を拡大する。

2.国際的な競争条件を整え、公正な市場を形成する

  1. (1) 経済法制の見直し、法人税実効税率引き下げなどにより、国際競争基盤を整備する。
  2. (2) ポスト京都議定書の枠組みづくりへの取り組み、民間活力を活かした温暖化対策や循環型社会の構築に向けた環境政策を推進する。また、戦略的な資源外交・技術政策を基盤とするエネルギー安全保障の強化に取り組む。
  3. (3) 知的財産政策や国際標準化政策を戦略的に推進する。

3.財政・社会保障制度の持続可能性を確立する

  1. (1) 歳出入両面にわたる改革を着実に進め、財政の健全化を図る。
  2. (2) 税制抜本改革、社会保障番号ならびに個人勘定の整備、年金・医療・介護の一体的改革を通じ、社会保障制度の持続可能性を確立し、国民の将来不安を払拭する。

4.地域の活力を日本全体の成長につなげる

  1. (1) 国・地方を通じた行財政改革に取り組み、道州制導入を推進する。
  2. (2) 国としての明確な戦略のもとに空港・港湾等の重点整備を含め、地域経済の活力を引き出す社会インフラの効率的整備を進める。
  3. (3) 魅力的な地域づくりや景観美化等の取り組みを通じて国際観光を振興し、交流人口の拡大をはかるとともに、国際的相互理解を深める。
  4. (4) 安全・安心な街づくりと快適な住環境の実現に取り組み、こころ豊かな生活の基盤を整備する。
  5. (5) 食の多様性と食料安全保障を確保するため、より生産性の高い農業の確立を目指して国内農政改革を推進する。

5.日本の将来を担う人づくりに取り組む

  1. (1) 創造性や国際性に加え、公徳心や克己心をもつ人材の育成に向け、教育改革に取り組む。
  2. (2) 公教育の抜本的な質的向上を図り、教育に関する機会の公平を確保する。
  3. (3) 産学官連携により、先端科学技術分野の研究開発等を担う高度人材を育成する。

6.労働力人口減少時代に向け、ワークライフバランスの実践に努める

  1. (1) 多様な選択肢のある人事・雇用システムを構築するとともに、自律的で柔軟な働き方を促す法的基盤の整備を推進する。
  2. (2) 少子化対策を国の将来への投資と位置づけ、働く人々に向け、保育段階からの子育て支援策を整備する。
  3. (3) 外国人材を活用するため、受け入れ基盤の整備に取り組む。

7.世界の平和とさらなる発展に貢献する

  1. (1) WTOドーハラウンド交渉の推進、経済連携協定の拡大、貿易諸制度の改革、対日直接投資の拡大により、世界経済のダイナミズムを日本経済の構造改革と成長につなげる。
  2. (2) 日米関係を基軸としつつ、アジア大洋州地域を重視した外交・安全保障政策を推進する。
  3. (3) 海外経済協力を戦略的に展開する。

8.公正な経済社会を構築する

  1. (1) 政策を機軸として政治との関係を強化するとともに、各界各層と透明で公正な関係を構築する。
  2. (2) 社会的責任を重視した経営を行い、企業倫理の確立に向け精力的に取り組む。
以上

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