「ICTによる生産性向上戦略」(案)に対する意見

2008年5月30日
(社)日本経済団体連合会
情報通信委員会
ITガバナンスワーキンググループ

昨年6月に情報通信審議会が設置した「ICTによる生産性向上に関する検討委員会」では、生産性向上のためのICT共通基盤の整備方策に関し検討を重ね、ASP・SaaSの普及促進方策や総合的なコード体系の在り方について「ICTによる生産性向上戦略」(案)を取りまとめた。
本案に対し、下記のとおり意見を述べる。

「ICTによる生産性向上戦略(案)」に対する意見募集
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080509_2.html

1.省庁間の連携について

本案で検討されている、公共サービスにおけるASP・SaaSの徹底活用(第2章)、企業ディレクトリの整備(第3章)、場所コードの活用(第4章)は、ICTによる生産性向上に関して一定の有効性をもつ戦略だといえる。加えて今後、他省庁等で検討されている同様のテーマの施策と連携を図っていくことが、更なる戦略推進の加速化には重要である。
例えば、経済産業省では昨年11月に「CIO戦略フォーラム」を立ち上げ、効果的なICT投資のあり方等に関する検討を行なっており、本案を取りまとめた「ICTによる生産性向上に関する検討委員会」とは検討の切り口が異なるものの、目指す方向性は一致していると思われる。
従来の各省庁縦割りの取り組みではなく、こうした異なるコミュニティが相互に連携し、成果を一つにまとめた上で、国を挙げての重要政策として取り組みを推進する必要がある。
以上を踏まえ、ICTによる生産性の向上という目標の達成に向けた省庁間の連携のあり方について、総括(第5章)に記述すべきである。

2.ASP・SaaSの認知度向上について (P.16)

P.13にまとめているように、利用者にとってASP・SaaS導入のメリットは多岐にわたる。特に財政面で十分なICT投資が困難な中小企業の情報セキュリティが確保されることは、中小企業にとってのみならず、取引のある大企業にとっても大きなメリットである。
ASP・SaaSの認知度を向上させるには、こうしたメリットをもっとアピールする必要がある。

3.生産性向上による環境負荷の軽減について

生産性の向上は、流通・移動に伴う温室効果ガス排出削減やASP・SaaSの普及によるサーバー減少など、環境負荷の軽減に資するものである。今夏開催される主要国首脳会議で重要テーマになっていることもあり、環境問題に対する社会的関心が高まっていることを踏まえ、問題意識(第1章)または総括(第5章)で、生産性向上が環境に与えるプラス効果について述べるべきである。

以上

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