[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

新内閣に望む

2008年9月25日
(社)日本経済団体連合会

もはや一刻の猶予もない。金融市場の混乱に端を発する世界経済の減速は深刻の度を増し、食料や原燃料価格の高騰、地球環境問題などが将来展望を困難にしている。加えて、少子化・高齢化が加速する中で、社会保障制度の持続可能性への疑問が日本社会の安定をすら損ないかねない状況に至っている。

この国の舵取りに責任を持つ者すべてが、かかる状況を打開する責務を負っていることを強く認識しなければならない。日本の進むべき道筋を明確に示し、国民本位・国益優先の観点からの思い切った政策が必要である。足元の景気を立て直し、改革によって成長力を高めて国際競争に打ち克つ以外に、未来を拓き、国民に安心を与えることはできない。

われわれは現状打開の処方箋として前内閣に下記を提示した。あらためて新内閣には、総合経済対策の早急な実現など、強い意志とリーダーシップによる取り組みを求めたい。経済界としても不断の努力を重ね、責任の一翼を担う所存である。

  1. 1.消費税を含む税制抜本改革、財政健全化、社会保障制度改革、少子化対策を一体的に実行し、国民に将来への安心感を与える。
  2. 2.企業活動を取り巻く制度環境を国際的に整合させるなど、競争基盤を整える。
  3. 3.戦略的な資源外交を行うとともに、農業を活性化して競争力を強化し、エネルギーの安全保障や食料の安定確保を図る。
  4. 4.低炭素社会の実現に向けて、革新的な環境・エネルギー技術の開発・普及を促進し、地球温暖化防止のための国際的な枠組み作りをリードする。
  5. 5.優秀な人材の育成や企業活動を円滑化するためのインフラ整備を通じて国内の産業基盤を維持・強化し、イノベーションを生み出す技術力の強化を図る。
  6. 6.最先端の電子行政・電子社会の実現によって社会全体の効率性・生産性を向上させる。
  7. 7.道州制の導入促進などにより、地域の活力で日本全体の豊かさを向上させる。
  8. 8.欧米を含めた経済連携協定の拡大や深化、WTOドーハラウンド交渉の打開、途上国への戦略的な国際協力の展開などを通じて世界経済の進展に寄与する。
以上

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