G8ビジネス・サミット共同声明

〜未来のために〜

〔仮訳(英文正文)/総括
2008年12月3日、4日

  • 日本経団連
  • カナダ商業会議所
  • フランス経団連
  • ドイツ産業連盟
  • イタリア産業連盟
  • ロシア産業家企業家連盟
  • 英国産業連盟
  • 全米商業会議所
  • 米国国際ビジネス評議会
  • ビジネス・ヨーロッパ

世界は現在、未曽有の金融・経済危機に直面し、危機は世界経済のあらゆる面へと波及している。各国には更なる対話と協働が必要とされ、景気停滞に歯止めをかけ、中長期的な経済、雇用を回復するための迅速な行動が求められている。

11月15日の金融・世界経済に関する首脳会合(G20サミット)を受けて公表された金融・世界経済に関する首脳会合宣言(G20共同宣言)では、現状の深刻さと大胆で果敢な行動の必要性が認識された。G20サミットは、広がりつつある混乱に対する世界的な対策の出発点であるが、この対策を実現し、経済を回復軌道へと戻すために行うべきことは多い。

経済界のリーダーは、各国の経済団体を通じて、緊急対応の必要性やその道筋について各国政府に助言を行ってきた。今、我々は、金融市場の安定と信用の回復、経済の安定と成長に向けた一連の提案を行う。これらの計画や原則により、政策当局は信用の回復を図り、企業の雇用が確保され、世界の繁栄につながることであろう。

I.危機克服のための開放的な経済政策、革新的解決、連携

II.金融市場改革に向けた提言

今回の危機を解決するためには、まず金融市場の改革が必要である。この改革を通じて、金融市場を再び、持続的な経済成長に寄与する資本形成の場としなければならない。このような取り組みにおいては、国際協調・協力の強化、適切な規制とイノベーション促進のバランス、システミック・リスクの適切な評価、投資家や消費者の適切な保護が求められる。

1.金融市場の規制に係る国際的協議・協力

金融市場は本質的にグローバルである一方、各国経済ごとに資本形成及び運用方法が異なるため、必要とされる規制の形は異なる。現行の不十分な金融規制が、現在の危機的状況の要因の一つとなっている。したがって、規制の枠組みの見直しが必要不可欠である。各国の規制当局が、システミック・リスクのチェック、世界経済の持続的成長に必要となる国際資本移動の確保について、協議・協力を行う必要がある。

2.国際的な会計・監査基準の統一化

現在の金融危機には、世界経済が真にグローバルであるということが如実に表われている。会計はビジネスにおける言語であることから、財務諸表作成者と投資家が最高品質の基準を用いて透明性のある情報交換を行うために、同じ言語を使用することが重要となる。21世紀型の財務報告に関する政策においては、以下の視点を軸に会計基準や監査基準を展開するべきである。

3.格付け機関の監督

金融危機が進行する中で格付け機関の役割と責任に対し、欧米の規制当局は多くの国際的な対応策や取り組みを開始した。経済界は、G8諸国の政府が格付け機関の問題に重きを置くことを期待している。
また、政府は必要な対策を講じる際に、円滑な企業金融を阻害せず、民間企業に追加的な負担が生じないようにするべきである。

4.ファンドの透明性の必要性

金融市場で重要性を高めているファンド(ソブリン・ファンド、オルタナティブ・マネジメント・ファンド、ヘッジファンドなど)は、今回の金融危機にも大きく関わっている。そのため関連の国内機関や国際機関は、こうしたファンドに求められる透明性のレベルについて見直しを始めている。
したがって、我々は、金融監督当局による適切なレベルの監督やモニタリングを可能とするために、これらの様々なファンドに対して合理的で適切な形態の透明性確保を提案する。一方、規制は市場におけるイノベーションを妨げるものであってはならない。
金融市場は企業セクターへの融資だけでなく経済全般に大きな役割を果たしている。しかし現在の金融市場は機能不全になっているため、G8ビジネス・サミットのメンバーは、ファンドの透明性を改善し、金融市場が効果的に機能する状況を取り戻すための提案を策定する。

以上

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