次期総選挙における各党政権公約に期待する

2009年7月6日
(社)日本経済団体連合会

わが国は世界同時不況という荒波の直撃を受け、未曾有の危機に直面している。現下の雇用への不安に加えて、少子化・高齢化の進行、深刻な財政赤字、そして社会保障制度に対する不信が相俟って、国民は将来への展望を失いかけている。

将来を見据えた大胆な政策を国民に示し、不退転の決意で経済社会の改革を推進することが、政治の責務である。次期総選挙では、まずもって各党がこうした危機意識を共有することを求める。

各政党には、それぞれの政権公約に以下の政策を盛り込み、活力ある経済社会の構築に向けた決意を示すことを強く期待する。その際、政策項目ごとに実行主体、取組方法、工程表等を明記するとともに、可能な限り定量的な目標を提示し、有権者の審判を仰ぐべきである。

各党政権公約に盛り込むべき優先事項

  1. 当面の危機克服への責任ある対応と民主導の成長力強化策の推進

  2. 安心で持続可能な社会保障制度の確立と抜本的な少子化対策の推進、消費税を含む税制抜本改革・財政健全化

  3. 民間活力の発揮を促す規制改革・民間開放、電子行政の実現と経済法制等の整備

  4. 産業の国際競争力強化に向けたイノベーションの推進

  5. 環境と経済、エネルギー安全保障のバランスの取れた責任ある環境・エネルギー政策の推進

  6. 公徳心をもち心豊かで個性ある人材を育成する教育改革の推進

  7. 雇用のセーフティネットの強化と雇用・就労の多様化の促進

  8. 道州制の導入に向けた「道州制推進基本法」(仮称:別添参照)の制定と農業、観光振興等を通じた魅力ある経済圏の確立

  9. グローバル競争の激化に即応した通商・投資・経済協力政策の推進と国際通商ネットワークの構築

  10. 戦略的な外交・安全保障の推進と憲法改正に向けた合意形成

以上

別添

「道州制推進基本法」(仮称)構成(案)

第1章 総則

道州制の理念:
国、道州、基礎自治体の政策立案・遂行能力の向上
地域経営の実践による広域経済圏の形成
地域における行政サービスの質的向上
道州制の定義:
現在の都道府県を廃止、これに代わる広域自治体として全国を10程度に区分する「道州」を新たに設置、地方公共団体を道州と基礎自治体という二層制に再編
道州制の導入時期:
2015年を目途

第2章 国、地方公共団体の責務

国:
道州制の導入に向け必要となる制度を整備し、施策を総合的に推進する責務
地方公共団体:
道州制の導入に向け行財政基盤を強化する責務

第3章 道州制推進基本計画

国は、道州制に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「道州制推進基本計画」を策定、基本計画では、道州制の導入に関する基本的な方針や、政府が総合的かつ計画的に実施すべき以下の事項などを規定

第4章 道州制推進本部および諮問会議等の設置

道州制推進本部:
内閣総理大臣を本部長、全閣僚を構成員とする「道州制推進本部」を設置。本部では、道州制の導入に関する課題について3年以内に審議、決定
諮問会議等:
国・地方の代表者、有識者で構成される「道州制諮問会議」を設置、道州制に関する重要事項について答申を策定、併せて国、道州、基礎自治体間の事務・事業の帰属について答申を策定する第三者機関を設置
以上

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