新内閣に望む

2009年9月15日
(社)日本経済団体連合会

新政権の発足にあたり、新内閣には、国民の負託に応え強力なリーダーシップを発揮し、改革を後戻りさせることなく、より豊かで活力溢れる国作りに取り組んで頂きたい。経済界としても、この実現に向かって最大限努力する。

わが国経済は、最悪期を脱しつつあるものの、依然として予断を許さない状況にある。グローバル化の進展と急速な少子化・高齢化の中で、雇用不安、地域経済の疲弊や社会保障制度への不信を抱え、国民の危機意識はますます深まっている。新内閣には、一刻も早く経済を自律的な回復軌道に乗せるとともに、産業競争力維持・強化を軸とする成長戦略、並びに諸重要課題に取り組む包括的ビジョンを示すことにより国民の閉塞感を払拭して頂きたい。

特に、国民の将来不安を払拭し消費を拡大するためにも、税・財政・社会保障制度の一体改革が急務であり、年金をはじめとする諸制度に関する超党派の取り組みが俟たれている。また、イノベーションの推進をはじめ、企業の国際競争力向上に向けた制度整備が肝要である。さらに、道州制の導入など、我が国にある潜在力を引き出す構造改革や地域の活性化も求められている。

こうした認識に立ち、新内閣が、国民各層の声に広く耳を傾けることにより国民生活と経済活動の実態を十分踏まえ、以下の諸課題に積極果敢に取り組むことを強く望む。

  1. 経済危機からの脱却と民主導の成長力強化策の推進
  2. 安心で持続可能な社会保障制度の確立、社会保障番号の早期導入、抜本的な少子化対策の推進、消費税を含む税制抜本改革・財政健全化
  3. 民間活力の発揮を促す規制改革・民間開放とそのための体制整備、電子行政の実現と経済法制等の整備
  4. 成長力強化、低炭素・循環型社会、健康長寿、安心・安全・快適社会の実現、並びに産業の国際競争力強化に向けたイノベーションの推進
  5. 国際的公平性、国民負担の妥当性、実現可能性に関し国民的議論を踏まえた温暖化中期目標の設定、ポスト京都議定書への全主要排出国の責任ある参加の実現
  6. 公徳心をもち心豊かで個性ある人材を育成する教育改革の推進
  7. 雇用のセーフティネットの強化と雇用・就労の多様化の促進
  8. 道州制の導入に向けた「道州制推進基本法」の制定と農業、観光振興等を通じた地域の活性化と魅力ある経済圏の確立
  9. WTOの早期妥結とEPAの促進をはじめとするグローバル競争の激化に即応した通商・投資政策、並びに経済協力政策の推進
  10. 戦略的な外交・安全保障の推進と憲法改正に向けた合意形成
以上

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