平成21年11月6日

厚生労働大臣
 長妻 昭 殿

健康保険組合連合会会長  平井克彦
国民健康保険中央会理事長柴田雅人
全国健康保険協会理事長小林 剛
全日本海員組合組合長藤澤洋二
日本経済団体連合会会長御手洗冨士夫
日本労働組合総連合会  会長古賀伸明

平成22年度診療報酬改定に関する要請

平成22年度診療報酬改定にあたって、診療報酬の改定率、改定の基本方針の策定に際しては、下記のような状況を踏まえ、国民、保険者や関係団体等の医療費を負担する側の意見・考え方を表明できる機会を設定し、現下の厳しい経済・社会、雇用情勢等を十分に考慮、反映していただくよう強く要請いたします。

わが国の経済・社会情勢は、景気や雇用情勢の悪化により、失業率は過去最悪の水準で推移し、賃金、物価も低下するなど、非常に厳しい状況にあります。

医療保険財政をみると、保険料収入の減少や高齢者医療制度に対する支援金・納付金の過重な負担等により、健保組合では平成20年度決算で3,060億円、21年度予算では6,100億円超と2年連続の巨額な赤字を計上しております。協会けんぽにおいても、平成20年度決算で2,290億円の赤字、21年度も4,600億円の赤字が見込まれ、準備金の枯渇が避けられないなど、危機的な財政状況に直面しております。また、国民健康保険においては、高齢者や低所得者の増加、昨今の経済状況を背景として失業者の流入等多くの課題を抱えており、市町村は、一般会計から国保特別会計への多額の繰り入れを余儀なくされております。このように、保険者はいずれもこれまでにない厳しい財政状況が続いております。

このような経済・社会情勢や国民負担、保険者の財政等を踏まえると、平成22年度に診療報酬が引上げられることは、患者負担や被保険者の保険料負担、医療保険財政等への甚大な影響が懸念されます。医療保険制度、ひいては国民皆保険制度を安定的に堅持していくという視点で捉えれば、さらなる保険料負担は極めて厳しく、財源確保、負担の在り方なども含め、家計負担への影響が避けられない国民に理解、納得が得られるような対応が求められております。

一方、現下の病院勤務医が置かれている疲弊した状況や、産科、小児科、救急医療をはじめ、医療提供体制の地域格差の拡大など、医療現場の厳しい実態に鑑みると、必要度の高い医療に対しては大胆かつ重点的な評価を行い、限られた財源を効率的かつ効果的に配分するよう見直しを図っていくことが不可欠であります。

つきましては、診療報酬の改定率、改定の基本方針の策定に際しては、こうした状況等を十分に考慮した上で、医療費を負担する側である国民、保険者や関係団体等の意見・考え方を表明できる機会を設け、意見や実情を是非反映していただくようお願いいたします。


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