企業行動委員会、社会貢献推進委員会、社会的責任経営部会などの委員をはじめ、日本経団連の会員関係者にCSRに関する経団連の活動情報等を提供するため、CSRインフォメーションを発行することといたしました(不定期)。特に、ISOにおけるSRに関する規格(ガイダンス文書)作成過程の議論や内容等についての情報を、スピーディかつわかりやすく報告することを目的としております。
○ISOは、昨年6月、開発途上国の強い要望に応じ、第三者認証を目的としない「SRに関するガイダンス文書(国際規格)」を作成することを決議しました。規格化作業は、3月7日(月)〜11日(金)ブラジルのサルバドールで開催されるSRに関するワーキンググループ(WG)第1回総会をもって本格的にスタートします。
○ブラジルとスウェーデンを幹事国とするWGでは、各国の経済界、労働団体、消費者団体、NGO、政府、標準・規格機関のそれぞれを代表する専門家が議論を重ね、2008年3月までに国際規格を発行する予定。今回の総会は、ガイダンス文書の内容や今後の作業スケジュールを決める極めて重要な会議と位置づけられます。
○現在、幹事国から提案されているガイダンス文書案は、マネジメント・システム規格の色彩が濃く、SRの定義、対象、内容は空白のままとなっています。開発途上国や先進国産業界、NGOなどからさまざまな提案や意見が出されており、会議の行方は予断を許しません。
○日本経団連では、昨年6月のISOにおけるSRに関するストックホルム国際会議などの経験を踏まえ、SRの規格化に積極的に参加するとともに、あらゆる組織にとって使いやすい規格となるよう働きかけていくことといたしました。
○ISOのSRに関するWGには、日本から3名の企業関係者のほか、連合、主婦連、経済産業省、NGOから各1名の専門家が参加します。
○日本は、ISO/SR国内対応委員会(主管:経済産業省産業技術環境局、事務局:日本規格協会)において、2004年12月に経済界主導で日本提案をまとめ、翌1月はじめにISOへ提出しました。日本提案の内容は、(1)第三者認証を目的としない、(2)各組織が取り組むべきSRの要素(例:法令遵守、人権、雇用、環境等)を具体的に指摘、(3)ステークホルダーとのコミュニケーションを重視、するものとなっています。
○日本経団連としては、これらの内容を議論に反映すべく各国に働きかけてまいりますが、第三者認証につながるようなマネジメント・システム規格を推進する意見も各国から数多く出されております。
○会議の模様につきましては、3月17日に開催する企業行動委員会・社会貢献推進委員会合同会合において、いち早くご報告申しあげる予定です。
日本経団連では、社会的責任経営部会がCSRに関連する委員会や海外事業活動関連協議会などと連携しながら、日本企業のCSRの一層の推進に向けて活動しています。現在、企業行動憲章と実行の手引きを参考にしたCSRの主要要素マトリックスの作成、ステークホルダーとの対話促進、会員企業における取り組みの実態に関するアンケート調査、先進的事例収集などを行いつつあります。これらの活動の模様については、次号以降で適宜報告してまいります。また、2005年4月号から日本経団連の機関紙『月刊 経済Trend』において、「わが社のCSR」と題して各社の取り組み事例を紹介する記事を掲載していく予定です。