はじめに


冷戦後、世界は新たな秩序を模索しているが、国際的な経済協力体制も今や大きな変革を迫られている。地球環境をはじめとする地球規模問題、旧社会主義諸国の市場経済への移行、民営化の支援など従来の経済協力の枠組みを越えた問題のほか、新たな援助を必要とする国や地域が登場してきた。援助国側においては、援助の戦略的意味が薄れたこと、経済不況と財政難もあり、援助疲労の兆候が顕著に現れており、経済協力の見直しが始まっている。

一方、わが国は政府開発援助第5次中期目標並びに新たな資金協力計画の下で、トップ・ドナーとしての役割が期待されている。しかし、政府開発援助(ODA)の量的伸びに対応してその実施体制が追いついていないこと、円高により一部の被援助国では円借款離れが生じていること、また、わが国においても円借款のアンタイド化の進展とともに企業のODA離れが目立ち、途上国の実情に合った援助プログラムの発掘・形成が進まないという事情も加わって、政府開発援助予算の効率的・効果的な執行を難しくしている。

経団連では本年、経済協力政策対話ミッションを米国、カナダ、ヨーロッパ等に派遣し、各国政府・議会、援助実施機関、民間非営利団体(NGO)、研究機関および世界銀行グループなどの国際機関と意見交換を行なってきた。この対話を通じ、二国間ODAなどの公的資金のみによる途上国の経済開発には限界があることが世界的に認識されつつあり、企業ベースの投資・貿易を通じた活動やNGOの草の根レベルの協力を経済協力に取り込んでいく方向が世界的な潮流となりつつあることを我々は実感した。

経済協力の世界の潮流は民間部門の活用への道を選択しており、わが国も官主導の経済協力のあり方を抜本的に転換すべき時期を迎えている。わが国経済協力のあり方に対する考え方の枠組みの転換なくしては、経済協力を通じた国際貢献という目標達成は前途多難であるとの認識が必要である。

言うまでもなく企業においては、途上国での事業展開において「経団連地球環境憲章」の精神を踏まえ、健全な経済活動を通じた人類の福祉の向上と地球的規模での環境保全に努めていかなくてはならない。


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