阪神・淡路地域の産業再生のための提言 (骨子・全文)
1995年3月28日
社団法人 経済団体連合会
はじめに
- これまで、各種の施策が講じられてきたにもかかわらず、被災者の不安は解消していない。
- その背景には、生活の基盤となる産業が、どのように復興・再生していくのかが必ずしも明確でないことがある。
1.被災地域の産業再生に関する基本的考え方
- 自助努力と公的助成との連携
- 国は、従来の災害復興の枠にとらわれることなく、効果的な公的助成を実施することが求められる。
- 大企業を含めた施策充実の必要性
- 地域産業空洞化や連鎖倒産の危機に瀕している現状に鑑み、企業規模の大小に関係ない支援体制が必要。
- 規制緩和・地方分権パイロット自治体制度の導入
- 地方自治体が、産業立地等の変化に弾力的に対応できるよう、パイロット自治体制度を導入し、規制緩和と権限委譲を進めるべき。
- 「阪神・淡路産業復興支援法」(仮称)の制定
- 規制緩和や税制などの施策の裏付けとなる「阪神・淡路産業復興支援法」(仮称)を早期に制定し、全体の取り組みを明らかにすべき。
2.産業の復旧・復興に向けた具体的提言
- 産業インフラの早期復旧の必要性と瓦礫処理の円滑化
- 総力をあげて産業関連インフラの復旧・整備に取り組む必要がある。
- 企業規模の大小に問わず、瓦礫処理に対する公的助成を行うべき。
- 産業施設復旧・復興のための支援措置
- 商業・流通機能の再活性化
- 商業・流通の復興・再活性化のための具体的プランを早期に策定すべき。
- 流通近代化・高度化に関する助成措置を拡充すべき。
- 規制緩和の推進
- 保安・安全に係わる諸規制について、(1)各種届出等手続の簡素化、(2)自主検査・自主保安等の特例的容認、が必要。
- 工場等制限法、工場立地法等の規制の見直しが必要。
- 雇用機会の確保・創出
- 雇用調整助成金の期間延長・拡充が必要。
- 公的主体による賃貸住宅の建設を促進するとともに、民間事業主体による住宅開発等に関する助成措置を講ずるべき。
- 中小企業の復興
- 地場産業や伝統産業の復興に対して、より十分な助成措置が必要。
- ハイテク型の新産業・新事業の創設を促すために、インキュベータ機能の創設などの支援策を打ち出すべき。
3.港湾・物流機能の再生に向けた具体的提言
- 神戸港を中心とした港湾機能復興の重要性
- 「神戸ポート・オーソリティ」(仮称)の設置を早期に実現すべき。
- 民間が所有する港湾施設に対して公的資金の投入を含めた助成措置を講ずるべき。
- 仮設の桟橋埠頭の建設を急ぐべき。
- 用途規制等の見直しを図る必要がある。
- 交通・通信インフラの復旧
- 幹線道路網の復旧を早期に実現すべき。
- 物流ルートの確保にも配慮する必要がある。
- 単に既存インフラの復旧に止まらない、総合的な交通・通信基盤の整備を視野に入れ、かつ、これを経済回復の重要な柱として位置づけるべき。
- 空港機能の充実等
4.おわりに
- 地元自治体による復興ビジョンの策定と国による支援
- 地元自治体は、中長期の復興ビジョンを早期に策定し、国が強力に支援する必要がある。
- 国は、内閣機能の強化、必要な組織づくり等について抜本的な検討を急ぐべき。
- 官民共同の体制整備について十分検討する必要がある。
- 本提言が、阪神・淡路復興委員会の審議に反映されることを願う。
- 産業防災の再点検の必要性
- 将来起こり得るとされている大規模地震災害に対して、産業防災への取り組みを急ぐべき。
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