企業活動のグローバル化に伴い、日米通商交渉の対象も従来の貿易自由化から競争政策や商慣行など、企業活動により密接に関連した分野へと拡大しつつある。こうした動きを踏まえてアメリカ委員会では昨年11月、アメリカ委員会委員および主要業界団体会員を対象に日米通商交渉・経済交渉における民間の役割に関するアンケート調査を実施した。
以下はその集計結果概要である。
回答総数 89社 (送付先:330社・団体中/回答率27%) 【電機・電子(12)、輸送機械(10)、化学(6)、その他製造業(14)、 建設業(6)、電気ガス(2)、情報通信(4)、運輸(3)、 金融保険(6)、商社(8)、小売(2)、サービス(3)、その他(13)】 ( )内は 社・団体数 ※項目によっては無回答の企業・団体があるので、各項目の回答数と回答総数は必ずしも一致しない。
(社・団体) ┌──あ る 60 │ な い 23 ↓
繊維、鉄鋼、半導体、フィルム、自動車・自動車部品
牛肉、ソーダ・アッシュ、建設サービス、板硝子、電気通信、保険、
紙製品、船舶、コンピュータ政府調達、スパコン、工作機械、
変圧器用アモルファス、アルミ電線、医療機器、日米構造問題協議、 等
日米包括協議の一部
(社・団体) | |
(1)米国企業・団体が米国政府に問題提起 | 52 |
(2)マクロ貿易不均衡是正の一環 | 25 |
(3)既存の日米協定の見直し、協定のレビューの一環 | 12 |
(4)日米両国の企業・団体が双方の政府に問題提起 | 4 |
(5)日本企業・団体が日本政府に問題提起 | 1 |
(6)その他 (米国政府が日本政府に問題提起、 米国企業・団体が日本企業・団体に問題提起、 日本の金融機関の海外でのプレゼンス増大を背景とする 不均衡是正(内国民待遇、レシプロシティ)の一環) | 4 |
【チャネル】
(社・団体) | |
(1)日本の業界団体・企業関係者 | 43 |
(2)日本政府関係者 | 40 |
(3)米国の業界団体・企業関係者 | 15 |
(4)米国のロビイスト | 6 |
(5)米国の州政府関係者 | 5 |
(6)日本の国会議員・政治家 | 3 |
(7)米国の連邦政府関係者 | 2 |
(8)米国議員・政治家 | 2 |
(9)その他 (米国人アソシエーツ、日米メディア、 米国従業員、米国サプライヤー、 業界団体長会社、貿易会) | 2 |
【働きかけた対象先】
(社・団体) | |
(1)米国の連邦政府関係者 | 33 |
(2)日本政府関係者 | 15 |
(3)米国の業界団体・企業関係者 | 13 |
(4)日本の国会議員・政治家 | 12 |
(5)米国議員・政治家 | 13 |
(6)米国のロビイスト | 8 |
(7)米国の州政府関係者 | 3 |
(8)日本の業界団体・企業関係者 | 2 |
(9)その他 (米国消費者、米国サプライヤー、 マスコミ、米国オピニオン・リーダー) | 1 |
【チャネル】
(社・団体) | |
(1)米国の連邦政府関係者 | 28 |
(2)米国の業界団体・企業関係者 | 25 |
(3)米国議員・政治家 | 21 |
(4)日本政府関係者 | 12 |
(5)米国の州政府関係者 | 11 |
(6)日本の業界団体・企業関係者 | 10 |
(7)米国のロビイスト | 10 |
(8)日本の国会議員・政治家 | 2 |
(9)その他(マスコミ) | 1 |
【働きかけた対象先】
(社・団体) | |
(1)米国の連邦政府関係者 | 28 |
(2)日本政府関係者 | 23 |
(3)米国議員・政治家 | 18 |
(4)日本の業界団体・企業関係者 | 13 |
(5)米国のロビイスト | 9 |
(6)日本の国会議員・政治家 | 8 |
(7)米国の業界団体・企業関係者 | 4 |
(8)米国の州政府関係者 | 2 |
(9)その他 (日本の消費者、米国大統領、米国民) | 2 |
(%) | (社・団体) | |
成功した | 13 | 8 |
一部、成功した | 38 | 24 |
どちらとも言えない | 35 | 22 |
成功しなかった | 14 | 9 |
(成功した理由)
(一部、成功した理由)
(どちらとも言えない理由)
(成功しなかった理由)
(%) | (社・団体) | |
ある | 57 | 49 |
ない | 41 | 37 |
現在はないが今後持つ予定 | 2 | 2 |
(省略)
(%) | (社・団体) | |
役立っている | 32 | 16 |
ある程度、役立っている | 46 | 23 |
どちらとも言えない | 16 | 8 |
役立っていない | 6 | 3 |
(役立っている理由)
(ある程度役立っている理由)
(どちらとも言えない理由)
(役立っていない理由)
(社・団体) | ||
(1)持っている | 38 | |
ワシントン | (23) | |
ニューヨーク | (9) | |
デトロイト、サンノゼ、 ヒューストン、シアトル | (各1) | |
(2)持っていない | 48 | |
(3)現在は持っていないが、今後持つ予定 | 2 |
(対米輸出)
(社・団体) | |
(1)現地生産や、米国企業との提携・協力関係を強化する | 58 |
(2)貿易不均衡はマクロレベルで解決すべき問題であり、企業の対応は必要ない | 15 |
(3)摩擦緩和のために、各社独自の判断で輸出を抑えることは有効である | 13 |
(4)その他 ・米国消費者の判断を優先すべき(小売) ・民間は主にミクロレベルでの対応となるが、不均衡防止には マクロ・ミクロ両面の対応が必要(金融・保険) ・これらを個別に行うのではなく組み合わせての対応が必要。人、モノ、 カネ、技術等の経営資源を駆使して個別の事業展開を行う(輸送機械) ・本来はマクロレベルで解決すべきだが政治問題化すると 企業の対応も必要(その他製造業) ・民間レベルでの継続的対話が重要(電機・電子) ・感情的摩擦の部分も少なくないので広く交流を行う(サービス) | 19 |
(対日市場アクセス)
(社・団体) | |
(1)対日市場アクセスの改善を図るためにも、政府に規制の緩和・撤廃や 経済の高コスト構造の是正を呼びかける | 48 |
(2)米国企業との提携・協力関係を強化する | 42 |
(3)購入計画を公表すると「約束」と曲解されるおそれがあるので、 輸入拡大に努めることを公表するに止める | 18 |
(4)米国側の市場参入努力不足の問題であり日本側の対応は必要ない | 12 |
(5)各社が自主的な輸入拡大に努めるべきであり、そのメッセージを 伝える意味から中期的な購入計画などを公表する | 3 |
(6)その他 ・米国企業の市場参入努力の奨励(輸送機械) ・ジェトロに対日輸入促進専門家を派遣(商社) ・対日市場アクセス改善だけでなく、産業の国際競争力向上のためにも 高コスト構造の是正が必要(金融・保険) ・米国には日本市場が閉鎖的との誤解があり民間レベルの話し合いで 相互理解を深めることが必要(その他製造業) ・保険市場へのアクセスについては、外国会社に内国民待遇を保証。 日米保険合意では逆に第三分野での激変緩和措置として制限がある(金融・保険) | 19 |
(社・団体) | |
(1)わからない(イシューによる) | 37 |
(2)二国間交渉を打ち切り、一方的措置の不当性の是非を含めて WTO(世界貿易機関)に提訴すべき | 19 |
(3)一方的措置の発動を回避することを優先させ、二国間交渉をまとめるように要請する | 18 |
(4)その他 ・まず二国間協議で話し合い、解決できない場合はWTO等の国際機関やEUなど 他国と連携する(電機・電子) ・一方的措置に対する直接的対抗措置の発動と、WTOへの提訴(その他製造業) ・マルチ優先だが、情報、理解促進のため、バイの交渉も行なう(化学) ・現実的な解決は是非必要(輸送機械) | 5 |
〔情報・意見交換の強化〕
〔業界団体による情報交換・協力の強化〕
〔ビジネス展開の中での協力の強化〕
〔その他〕
(社・団体) | |
(1)交渉内容が、企業行動により直接影響するものになっていることから、 企業・団体がより積極的に交渉に関与する枠組みを考えるべき | 38 |
(2)政府間交渉は、政府規制など政府が直接関与する問題に限定すべきであり、 企業・団体は政府間交渉から距離を置くべき | 30 |
(3)既存の企業や団体による活動で十分である | 7 |
(4)その他 ・内政干渉ともとれる内容については交渉の入口で明確にすべき(運輸) ・市場原理に基づく企業活動への制限は最小限に止めるべき(その他製造業) | 4 |
(社・団体) | |
(1)政府間交渉の内容や結果について、交渉開始前、交渉実施時、交渉終了後に 民間から意見を聴取する機会を制度化する。 1.パブリック・コメント制度の充実(商社) 2.ニューヨーク、ワシントン等の地元日系団体(在米日本商工会など)との話し合いを 必ず行う必要がある。また場合によってはその代表を臨席させる(輸送機械) 3.交渉終了後より、開始前に焦点をあてるべき(化学) | 27 |
(2)既存の業界団体、民間経済団体による活動を拡充・強化する。 1.経団連から政府交渉団にメンバーを送る(建設業) 2.情報、データの早期収集、および分析の強化(情報通信) 3.政府に対する経済界の提言に一体感がない。提言団体も多すぎる(電機・電子) 4.問題点の明確化、一般への広報、米国への情報提供などに注力すべき(サービス) | 12 |
(3)その他 1.政府に民間人を出向させ、その人に交渉させる(その他製造業) 2.95年以降米国は貿易規制でなく為替や金融等経済政策により経済力を 調整しようとしており、それへの対策が急務(その他製造業) | 4 |
(%) | (社・団体) | |
賛成 | 40 | 30 |
わからない | 39 | 29 |
反対 | 21 | 16 |
(賛成の理由)
(反対の理由)
(社・団体) | |
(1)グローバルなビジネス環境促進に向けた諸制度、ルールの共通化 | 75 |
(2)マクロ経済運営における協調(為替の安定等も含む) | 55 |
(3)国際的な紛争解決機構・手続きの整備、強化 | 45 |
(4)世界的、地域レベルでの貿易、投資自由化促進へのイニシアティブ | 37 |
(5)その他 ・戦略的産業の育成、国際的感覚を持ち、外国語で 意思伝達が可能な人材の育成、登用(輸送機械) ・WTOへの提訴権を民間にも認める(化学) | 4 |
(社・団体) | |
1.なるべくマルチで話し合いバイの交渉は日米の問題に限定する | 61 |
2.新しいイシューについても日米交渉で取上げ、 米国と協力して新しいルール作りへ参画する | 16 |
3.その他 ・基本的にはマルチの話し合いを優先し、バイの交渉で補完(輸送機械) ・基本的にはマルチだが、円滑な交渉のため案件によっては、 日米間で事前のすり合せが必要(輸送機械) | 4 |
(対欧州)
(対アジア)
〔経済団体・業界団体の役割強化〕
〔官民の協力強化(官民の対話の枠組み設置)〕
〔官民の間の人的交流の促進〕