[経団連] [意見書] [ 目 次 ]
わが国産業の競争力強化に向けた第1次提言
―供給構造改革・雇用対策・土地流動化対策を中心に―

III.工場跡地など遊休不動産の有効活用および流動化の促進


企業が工場跡地など遊休不動産の有効活用およびその流動化を進めるためには、民間事業者との開発に加えて、地方自治体等と連携してプロジェクトを計画・実施する必要がある他、土地利用に関する規制の緩和・弾力化やインフラの整備が速やかに行なわれる必要がある。

[1]モデルプロジェクトの推進

土地の有効活用を行なうためには、その前提として具体的な土地利用計画が必要であり、土地所有者自らが積極的に開発プランを提案しなければならない。
こうした開発を先導するため、政府が、地方自治体、住宅都市整備公団、民間都市開発推進機構などと連携して、21世紀に必要となる介護施設、保育施設、ごみ焼却・発電施設、リサイクル施設などを組み込んだ住宅・都市開発のモデルプロジェクトを積極的に推進することが望まれる。
その際、公的機関による出融資に加え、PFI手法やプロジェクトファイナンスの活用、不動産の証券化など多様な資金調達手段の活用を検討する。

【SPCに係る税制措置の提案】

  1. 配当要件の緩和(90%超)
    現行SPC法は、配当可能利益の90%超を配当した場合にのみ、その支払配当が損金算入されるが、不確定要素が高い不動産事業の性格に鑑み、SPCの経営を安定化させるため、配当要件を緩和すべきである。

  2. 登録免許税・不動産取得税の免除
    現在、2年間の暫定措置として、SPCが不動産を取得する場合の登録免許税、不動産取得税は1/2に軽減されているが、収益率の向上のために、これを免除すべきである。

    • なお、SPC法については、原資産保有者の資産譲渡に係る課税の繰延べ、優先出資の増減資制限の緩和、借入制限の緩和等についても検討を要する。

[2]住宅都市整備公団および民間都市開発推進機構の機能拡充と土地の先行取得

プロジェクトの推進のためには、工場跡地など遊休不動産に関する情報を一元的に収集し、開発プランを提示するプランナーの役割が重要である。地方自治体や上記機関が一体となって、これにあたることが期待されるとともに、プロジェクトの実施に適した用地について両機関が積極的にその先行取得を行なうことが望まれる。加えて、両機関が先行取得した土地および周辺地域については、地方自治体が基盤整備や用途地域の変更、容積率の緩和等を行なうとともに、両機関が民間や地方自治体に売却したり、共同開発することが望まれる。
また、関係機関が協力して未利用工場用地情報センターを設置し、土地情報の一元化と一体的な開発計画を提示できる新たな仕組みを設けることも検討に値しよう。これにより、開発プロジェクトの推進のみならず、工場の移転希望者、新規工場用地の購入希望者に対しても包括的な情報提供が可能となる。

[3]用途地域指定の変更

上記プロジェクトの実施および遊休土地処分のためには、工業専用地域、工業地域をプロジェクトの実施可能な用途地域に変更すること、臨港地区指定を解除することとともに、生活インフラの整備が必要であり、地方自治体における柔軟かつ迅速な対応が期待される。また、再開発地区計画、地区計画など、既存の手法の弾力的な運用と手続の迅速化も望まれる。

[4]工場用地としての再活用に関する規制緩和

工場の縮小に伴って生じた土地について、用途地域指定の変更を行なわないまでも、製品の展示、物品販売など当該企業の活動に関連した施設用に転用できるよう建築基準法を緩和あるいは弾力的に運用すべきである。
また、工場の再編を円滑に進められるよう工場立地法(緑地基準)、石油コンビナート等災害防止法等を緩和・弾力化すべきである。

以 上

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