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デジタル時代における衛星放送産業の発展に向けて

〜情報通信委員会 通信・放送政策部会報告書〜

1999年5月28日
(社)経済団体連合会

(はじめに)
1.基本的視点
2.衛星デジタル放送産業発展のための課題
3.東経110度CS放送の実現に関わる問題について
4.衛星デジタル放送産業発展のための環境整備について
(おわりに)

(はじめに)

1996年にCSデジタル放送が開始され、2000年には、新たにBSについてもデジタル放送がスタートする予定であり、デジタル放送は、衛星放送から本格化していこうとしている。新しい産業である衛星デジタル放送は、放送のデジタル化を先導するメディアであり、また経済性、広域性、大容量といった特徴を持つ。そのため、本格的なデジタル時代である21世紀において、中核的情報メディアの一つとなる可能性を持っている。一方、2000年中頃に通信衛星がBSと同じ東経110度の軌道位置に打ち上げられることになっており、その活用方法について、放送の面からも議論が高まっている。
経団連では、衛星デジタル放送のもつ意義に注目し、衛星放送事業関係者の意見をふまえて、衛星放送産業の発展に向けた課題や環境整備のあり方などについて整理を行ない、今後の関係者の取り組みへの問題提起の意味も含めて報告することとした。

1.基本的視点

  1. 利用者の立場の重視
  2. デジタル技術の活用により、高精細度放送、多チャンネル放送、データ放送のほか、双方向サービスをはじめ、様々なメディアが融合・連携したサービスの提供など、新しい事業機会が創出されつつあるが、ビジネスとして成立するかどうかは、利用者から受け入れられるか否かにかかっている。利用者にとって重要なことは、情報が伝送される経路やツールではなく、どのような内容を、どの程度の経済的負担で利用できるのかである。ビジネスの動向は、利用者が受けることのできるサービス内容、対価としての料金と家計の負担能力、端末の使いやすさ・便利さ等に左右される。メディア間のシナジー効果を図ることも利用者の利便性向上にとって不可欠である。今後、事業者としては、コスト、放送ソフトの質・量、メディアの認知度・イメージ等の面での創意工夫が極めて重要になってくる。
    また、放送のデジタル化に伴って、通信やコンピュータとの融合が深まるとともに、流通、決済など商取引にも活用されるなど、放送と市場、産業との接点は従来以上に広範なものとなっていく。放送においても、市場における需給関係を基礎とする産業的な取り組みが従来以上に求められる。

  3. 放送をとりまく環境の変化への対応
  4. デジタル技術を中心とした技術革新の急速な進展に伴って、放送メディアの多様化・高度化、多チャンネル化が進む一方、インターネットなどの新し情報流通メディアが急速に発展するなど、放送をめぐる環境は変りつつある。地上波という基幹放送が果たしてきた文化、報道面での役割が基本的に変わることはないであろうが、デジタルという共通の技術を基盤として、伝送路、端末、サービスの面で放送と通信との相互関係が密接になりつつある。実態面では放送と通信とが融合、連携し、電話やインターネットなど放送以外の分野も広く巻き込む形で様々な新しい情報流通事業が登場している。
    一方、経済社会の国際化に伴い放送のグローバル化も進展している。とくに、ネットワーク、端末、コンテンツ等の事業者においては、競合者に対する優位性確保や生き残り等をかけて、国際的な合従連衡が盛んに行なわれている。また、国際的な情報流通が活発化し、放送ソフトが世界的規模で流通するとともに、放送を通じた国際的な文化交流の機会が増大しつつある。外国向けの放送のみならず、外国放送ソフトの国内での放映に対するニーズも次第に高まりつつある。
    わが国の衛星デジタル放送産業の発展を図るためには、このような放送をとりまく環境変化をとらえて適切に対応していくことが重要である。

  5. メディア間の切磋琢磨と相互補完
  6. 地上波放送の場合は、設備・伝送コストはケーブルテレビより安価であるが、衛星放送よりは一般的に高い。しかし、柔軟な地域ネットワークが可能で、災害にも強い。既に全国に普及し、総合放送を行なう基幹メディアとして従来から国民に定着している。番組制作に関する能力が高く、番組のストックも豊富である。その上、ローカルメディアとしての機能が従来以上に注目されており、新しく多様なサービスを開発していく可能性も高い。
    また、ケーブルテレビは、無線系に比べてコストが割高で、比較的狭いエリアを対象としているが、地域生活に不可欠な情報を送信するとともに、他の放送メディアの再送信を行なっており、地域情報ネットワーク化を通じた放送の高度化と他のメディアの発展を担う貴重な存在である。また、自主制作番組の放送を行なうのみならず、放送と通信の双方にまたがる統合型メディアとして、サービスや機能の高度化、きめ細かなサービスの提供が期待される。とくにインターネットとの連携により利用者の利便性が非常に高まりつつある。
    一方、宇宙空間の衛星からの無線伝送を利用する衛星デジタル放送は、大雨、大雪による降雨減衰がありうるが、全国を1波でカバーでき、有線に比べてコストが安く、広域的な情報提供や大容量の情報伝送が可能である。BSデジタル放送は高精細度中心の総合放送、CSデジタル放送は多チャンネルの専門放送との位置付けが一般的に考えられているが、デジタルにふさわしい高度なサービスを提供するものとして、放送の技術革新や新サービスの先駆的な役割を果たすことも期待されている。また、衛星を通じて地域で制作された番組を全国に発信することも容易になりつつある。さらに移動体向けの衛星デジタル音声放送(Sバンド利用)の計画もあり、今後移動体においても放送ネットワークの利用が一層拡大することが予想される。アナログ放送は地上波でスタートし、後発の衛星放送は補完的な位置づけであったが、今後のデジタル時代において、衛星デジタル放送の果たすべき役割は飛躍的に高まっていこう。
    放送をとりまく環境は大きく変化してきており、今後は、各種メディアが通信との融合を含めて有機的に結びついていくことで、わが国全体としてのデジタル・ネットワークが形成され、それを通じて大量かつ多様な情報が流通することになる。その中で、各メディアが特性を活かして切磋琢磨するとともに相互に連携、協力、補完し合うことにより、メディア全体として国民のニーズに応えていくことが期待される。
    こうした中で、コンテンツの面でも共用することが注目されている。例えば、多様なメディアを通じて伝送される番組の共同制作や番組の多元的利用が不可欠となっている。とくに、番組制作コストを抑制しつつ市場ニーズに対応するため、番組の繰り返して伝送することによる視聴機会を増大させることや、情報資源の多様化に対応することなどが重要になりつつある。
    また、利用者が使用する端末に関しても融合の動きが出ている。利用者が多様なメディアそれぞれに対応する状況は、コスト、利便性の面からも好ましくない。したがって、端末の共通化に向け、メディアの枠を超えた規格づくり等が求められている。

2.衛星デジタル放送産業発展のための課題

衛星放送事業者、衛星事業者、プラットフォーム会社、メーカー、番組制作・供給者、番組出演者、NHK、民放関係者、通信事業者や行政当局など、官民を問わず関係者が相互理解を深めつつ、衛星デジタル放送産業の拡大均衡を図る観点から、次の課題の克服に取り組んでいくことが期待される。

  1. 利用者が加入しやすい仕組みづくり
  2. 利用者にとって最も大事なことは、コスト・ベネフィットの高いサービスが受けられることである。イニシャルコストの削減(端末の低廉化、工事費の削減等)、国民に支持される番組の制作・配信(番組パッケージ編成を含む)、利用者ニーズに合った新しいサービスの提供(双方向サービス、インターネットの活用、低廉・多様な通信サービスとの連携等)、さらには利便性の高い端末の開発(規格の統一等)を含め、受信しやすい条件の整備等に向けた取り組みが重要である。

  3. ソフトの生産性向上と多元的利用
  4. 放送メディアの多様化、多チャンネル化に伴い、放送ソフトの多様化が促進され衛星デジタル放送産業の裾野の広がりも期待されているが、現状では未だ立ち上げ段階である。利用者満足度の高い一般向けエンターテイメント放送ソフトの不足が顕在化し、その確保をめぐる競争が激化しているため、内外の権利料が高騰している。新しい産業である衛星デジタル放送の場合、当分の間は地上波のような巨額の番組制作費を投ずることは困難である。衛星デジタル放送産業の拡大に向けて、事業者としては、事業効率化を図りつつ、利用者の満足度の高い番組を低コストで制作するなど、ソフト制作に関する生産性向上が求められる。とくに地上波との連携が重要である。
    一方、多チャンネル化に伴い、放送事業者を含めソフト制作者の能力の向上、ならびに放送ソフトの多元的利用や一部加工利用などが急務となっている。また、国際的視点も含めて、著作権処理を円滑に行なう事も重要である。

  5. 技術革新への対応
  6. デジタル・ネットワーク技術の発展、メモリーの大容量化やマイクロプロセッサの高機能化など情報技術の革新等の成果を、国民生活の質的向上や企業の競争力強化に結び付けていくことが、わが国にとって大きな課題となっている。デジタル放送の尖兵たる衛星デジタル放送においても、飛躍的な技術革新に対応して、新しいサービスの創出、あるいは他の放送メディアや通信との連携などを推進し、市場のニーズに合った多彩な事業展開を図っていく必要がある。政府の政策、制度やその運用についても、技術革新、ならびにそれに伴って生ずる利用者ニーズに、機動的かつ柔軟に対応したものでなければならない。

3.東経110度CS放送の実現に関わる問題について

2000年には東経110度の軌道位置に通信衛星とBSデジタル放送に向けた放送衛星(BS−4後発機)が打ち上げられる予定である。そこで、「東経110度の通信衛星と放送衛星とを利用し、放送方式、利用者へのサービス方式、受信機器などの統合ないしは最大限の共通化を図った衛星デジタル放送を実現すれば、衛星デジタル放送の早期かつ飛躍的普及が期待できる」という意見がある。一方、「既にサービスが行なわれているCSデジタル放送やケーブルテレビなどを含めたメディア全体のあり方、高速衛星インターネットなど、21世紀に向けた新しい情報流通ニーズに適応したサービスの創出及びそれに対応できる柔軟な構造などについて、まず検討を行なうべき」との意見もある。東経110度CS放送問題については、放送と通信の融合も視野に入れ、今後のわが国のデジタルネットワークを形成するためのメディア全体のグランド・デザインを検討しつつ、その方向性を出す必要がある。

  1. 検討の視点
  2. この問題を考えるに当たって最も重要なことは、衛星デジタル放送やケーブルテレビへの既加入者を含めた利用者全体の利益である。低廉になった一つの端末でBSデジタル放送、CSデジタル放送の両方の番組を視聴できる環境が整備されれば、利用者の利便性は大いに高まる。その一つの方法として、東経110度で共用性のあるBSデジタル放送とCSデジタル放送を実現することや、多様なメディア間で放送ソフトの多元的利用を促進することなどのアプローチも考えられる。
    21世紀の情報流通ニーズに対応したデジタル・ネットワークにおけるメディア間のシナジー効果を図ることも利用者の利便性向上にとって重要である。例えば、衛星インターネット、電子商取引など、これまでの放送サービスの概念を越えた、新しく多様な情報流通サービスの実現は、利用者に対しても大きなメリットをもたらす。その結果として、BS、CS、ケーブルテレビなどメディア間のシナジー効果も出てきて、わが国のデジタル・ネットワーク全体の形成が推進され、衛星デジタル放送産業の普及・発展につながっていく。

  3. 今後の課題
  4. 今後、2000年内の放送開始に向けて進められているBSデジタル放送のスキーム作りやインフラの整備に悪影響が出ないことを前提に、利用者の利便性を追求した21世紀に向けた新しい情報流通メディアを実現する環境整備を図ることが重要である。その一つとして、東経110度において、放送方式、利用者へのサービス方式、端末などの統合ないしは最大限の共通化が図られたBSデジタル放送とCSデジタル放送を実現するための環境整備や、放送用ソフトの多元的利用など、メディア間のシナジー効果を図る方策を早急に検討することが望まれる。
    110度CSデジタル放送の実現に当たっては、克服すべき課題が多い(周波数の国際調整、放送利用可能トランスポンダの数の決定、コンテンツ事業者のあり方、技術基準の決定、既存CS放送利用者対策、制度を含む関連スキームのあり方、顧客サービス方式のあり方など)。今後、官民の関係者が、利用者全体の利便性に十分配慮しながら、110度でのCSデジタル放送の実現を含め、21世紀に向けた新しい情報流通メディアの創出による衛星デジタル放送産業全体の発展に向けて取り組むことが期待される。その際、放送方式、端末の共通化等について、関係者で日程を明確にしながら検討を進めていくことが肝要である。

4.衛星デジタル放送産業発展のための環境整備について

衛星デジタル放送が自律的に発展していくためには、何よりも衛星放送事業関係者が自己責任原則に基づいて自助努力を推進することが重要であるが、新しい産業に挑戦しやすいような環境の整備が必要である。

  1. 欠損金の繰越し期間の延長
  2. 衛星放送は装置産業であり、立ち上げ時期に相当の減価償却負担がかかる。わが国の法人税法上の欠損金の繰越し期間は原則として5年であり、米国の20年やイギリスの無期限に比べて著しく不利になっているが、今後、欠損金の繰越し期間を大幅に延長する必要がある。欠損金の繰越し期間の延長は、衛星デジタル放送だけでなく、地上波デジタル、ケーブルテレビ、さらにはベンチャー企業の育成にも貢献し、日本経済の活性化につながるものである。

  3. 新たな著作権ルールの確立
  4. 国民が質量ともに充実した放送ソフトを視聴できるようにするためには、既存ソフトを適切に再利用することも重要である。日本の場合、地上波以外の著作権処理ルールは未整理に近く、また、放送ソフトの多元的利用を促進する権利処理慣行は確立していない。そのため、放送ソフトの流通、利用などに関する著作権処理は困難を極めており、円滑なソフト流通や既存ソフトの有効活用の妨げとなっている。利用者が多様な放送ソフトを享受できるようにする観点から、簡便で、かつ制作者の権利が適切に保護されるような、新しい著作権処理ルール等の確立に向けて、官民が連携して早急に取り組む必要がある。ある程度事業収入に応じて著作権料を支払うなど、膨大な設備投資と運営コストが不可避である新しいメディアでも負担可能な仕組みとすることが望まれる。

  5. ケーブルテレビの拡充
  6. わが国では、既に、BS放送、CSデジタル放送は直接受信での利用者以外に、ケーブルテレビ局経由での加入者も相当数に及んでいるなど、衛星放送とケーブルテレビとは、基本的には共存共栄の関係にある。衛星デジタル放送の展開は、ケーブルテレビ抜きには考えられない。したがって、ケーブルテレビ発展のための基盤が着実に整備されていく必要がある。とくに、今後、ケーブルテレビのデジタル化等によりケーブルテレビの多チャンネル化、高画質化や高機能化が望まれるが、関係各社は、米国と比べて事業規模は小さく、投資負担能力が劣っているのが現状である。行政においてケーブルテレビのデジタル化等の投資負担軽減やサービス高度化の促進のための適切な支援を行なうことが求められる。

  7. 集合住宅等での共同受信の推進
  8. NHKの調査によると、98年時点で、地上波の全利用者の49%が上述のケーブルテレビによる受信または共同受信をしている。国民が衛星デジタル放送サービスを利用できる環境を整備する上で、ケーブルテレビの拡充とともに、1千万世帯以上と言われる集合住宅への対応は不可欠である。都市部の多くの集合住宅において共同受信設備が設置されているが、設備の仕様は様々であり、またほとんどが1本のケーブルとなっている。そのため、地上波のVHF、UHF、BSデジタル放送、CSデジタル放送、ケーブルテレビのすべてを受信することはむずかしい。今後、集合住宅が共同受信も導入しやすい技術基準を策定する、あるいは、集合住宅建設にあたって大容量回線を設置する場合に税制面での優遇措置を行なうなど、共同受信の推進策を講ずる必要がある。

  9. 通信サービスの拡充
  10. デジタル放送の潜在的可能性が発揮されるためには、通信回線を利用した双方向サービスなど、デジタル放送と通信サービスとが連携したサービスの開発が求められる。インターネットを含め通信料金のより一層の低廉化や加入者回線の容量拡大が実現すると、放送においても双方向性を重視した新しいサービスの創出が容易になる。今後、通信サービスのより一層の低廉化、多様化が強く期待される。また、家屋内の通信回線の取り入れ口の場所について、多メディアを利用しやすいものとするとともに、低廉で利便性の高い家庭内情報通信ネットワークを構築することも重要な課題である。

  11. 情報ネットワーク化に対応した制度・政策の確立
  12. デジタル・ネットワーク技術の発展の成果を、行政手続き、初等中等教育、医療、金融取引等の面で活用できるよう、関連の諸制度、政策の見直しを行なう必要がある。

  13. 放送と通信の融合への対応
  14. デジタル化の進展や情報技術の発展などにより、どのような情報伝送路でも、同じような情報伝送サービスが可能となっており、放送と通信とが融合、連携したサービスが相次いで生み出されようとしている。放送と通信とが融合、連携した事業について、行政側で放送と通信とを別々に切り分けして許認可、監督する仕組みでは、新しい事業が花を咲かせ順調に成長していくことは期待しえない。
    今後は、放送と通信との融合を前提として行政のあり方を見直す必要がある。電波について通信・放送の共用が実現したが、新たなサービスを機動的、積極的に創出できるように、チャンネルプランによる放送用周波数の指定についても利用者ニーズの動向ならびに実際の放送の実施状況を反映して柔軟かつ迅速に対応できるようにする、また、97年12月策定の「通信衛星を利用した通信・放送の中間領域的なサービスに係る通信と放送の区分に関するガイドライン」についてネガティブリスト化を目指すべきである。

  15. 受委託放送制度に関する検討
  16. 現行の受委託放送制度に関しては、「利用者にとって最も重要であるはずの全体的なジャンルのバランスやパッケージングにおいて責任ある主体が存在しない。そのため、利用者にわかりにくいパッケージングや、効果の不明なパッケージの乱立を招き、また番組編成についての権限がないプラットフォーム会社における番組・顧客管理費用が増大している。受委託放送制度は、チャンネル数が多くない場合には適しているが、多チャンネルの場合には問題点が顕在化する。各チャンネルの編成権を担う主体と、全体のバランスやパッケージングを行なう主体とを分け、真の多チャンネル時代に即応した制度を、法改正も視野に入れて早急に検討すべきである」との意見がある。
    一方、「マスメディア集中排除原則が緩和されてきていることを考えれば、プラットフォームが実質的にパッケージ編成に関与することは可能であり、また、受委託放送制度は、番組制作・供給産業の育成という意味合いも持っているので、基本的には現行の受委託放送制度を維持していくべきである」との意見もある。
    こうした点をふまえて、今後、利用者の利便性や衛星放送事業の事業性等の観点から、さらに受委託放送制度の問題について掘り下げた検討をしていく必要がある。

(おわりに)

以上、衛星放送事業関係者の報告と通信・放送政策部会関係者の議論をふまえ、今後の関係者の取り組みへの問題提起の意味も含めて、衛星放送産業の発展に向けた課題や環境整備のあり方などについて、整理を行なった。今後、官民の関係者が、利用者の利便性の観点を中心にスキームづくりを早急に進めるとともに、各々の立場で、デジタル時代における衛星放送産業の発展に向けて取り組んでいくことを強く期待したい。

以 上

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