(公財)経団連国際教育交流財団日本人大学院生奨学生留学報告

ハワイで学ぶ地球の構造

藤本 萌 (ふじもと めぐみ)
2021年度奨学生
千葉大学大学院からアメリカ/ハワイ大学マノア校に留学

ココヘッド山頂にて。筆者左から2番目。

私は2021年度秋より、経団連国際教育交流財団のご支援を受け、ハワイ大学マノア校に留学している。専攻は地球物理学で、地震波を用いて地球内部構造の研究を行っている。現在研究対象であるハワイ・天皇海山列における波形解析を行っている。直接見ることのできない地球内部の構造はいまだ謎が多い。地球物理学が大きく発展したのもほんの数十年前からであり、現在一般的に用いられている物理探査もP波の往復走時のみを使用することが多い。しかし、実際にはP波以外の情報(例えばS波やP-S変換波、密度の情報など)が存在しており、それらを使用することができればより詳細な内部構造を知ることができるだろう。それらの情報の使用を可能にすることにより、従来のP波走時トモグラフィ解析におけるモデルの信頼性を評価し、さらに地球の詳細な内部構造を明らかにしていくことが目標だ。

留学する前も地球物理学を専攻していたものの主に上部地殻構造の研究を行っておりプログラミング等も専門的に学んでいなかったためこの二年間苦労した。特に一年目の最後に受けた Comprehensive exam では自分の専門である地球物理学(地震学)以外にも地球化学や地形学、熱力学など様々な問題を出され苦戦したが、自分に足りていない基礎知識と改めて向き合うことができた。その他にも、年に一度自分の研究について教員や他の生徒の前でプレゼンテーションと質疑応答を行ったり、TAで学部生に授業をしたりと貴重な体験をした。日本では大人数の前でプレゼンテーションをする機会はあまりなく、人前に立つのも苦手であったため、いまだに慣れないが、以前ほど緊張はしなくなってきた。来学期には学会発表も三つ決まっている。将来、さらに人前で発表する機会が増えてくることと思うが、この留学で得た経験で乗り越えていきたい。今後はこのままハワイ大学で博士学位の取得を目指す予定である。日本は自然災害が多く地震大国とも呼ばれている。少しでも私の研究が人類の地球への理解を深め、自然災害から身を守る助けになればと思う。

このような貴重な機会を与えてくださった経団連国際教育交流財団の皆様に心から感謝を申し上げたい。

(2024年1月掲載)

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