(公財)経団連国際教育交流財団産業リーダー人材育成奨学生留学報告

サセックス大学での留学生活

笹森 奎穂 (ささもり けいほ)
2020年度奨学生(但し、留学は2021年度に実施)
一橋大学大学院からイギリス/サセックス大学に留学

卒業式にて、クラスメイトたちと。右から2番目が筆者。

私は、2021年秋から約1年間、イギリス・ブライトンのサセックス大学 Science Policy Research Unit (SPRU) に留学し、科学技術政策の修士号を取得した。1年間のコースではイノベーション研究や公共経済、政策分析など様々な角度から科学技術と政策の関わりについて学び、授業や修士論文執筆のみならず、インターンシップに参加する機会にも恵まれた。

3学期で構成される1年間のプログラムでは、1学期目に科学技術イノベーション論や経済学の基礎的な理論、科学技術社会論の主要な論点、また統計的分析の手法などに関する授業を履修した。2学期目にはそれらを踏まえ、AIの社会実装や産業政策論などのより実践的なトピックについての授業を選択履修し、同時に研究のメソドロジーについても指導を受けた。3学期目は修士論文執筆のために充てられ、指導教員と数週間に一度ミーティングをして指導を受けながら研究を進めた。また、大学が提供するインターンシップの機会に応募し、大手学術出版社の研究部門で論文データベースの書誌情報を用いた学術研究チームのアシスタントとして研究をお手伝いする経験も得ることができた。授業の他にも、同じコースの友人と企画した過去の卒業生とのキャリアイベントを先生や大学スタッフの方々のサポートを得て開催したり、近隣諸国に旅行して見聞を広めたりしたことも印象に残っている。

授業は同じユニットに属する他のコースと共同のものも多く、世界中の多様なバックグラウンドを持つ学生たちと、様々な視点からトピックに対する議論を深めることができた。また、大学の寮で生活していたため、個性豊かなフラットメイトたちと時間を共にすることも多くあった。オミクロン株の流行やストライキなど困難はありつつも、友人たちと励まし合って無事にコースを修了できたことに安堵している。

1年間を通して、授業での学びのみならず、感染症への政府の対応や国際情勢の変化を身近で感じ、科学技術イノベーションと社会を取り巻く不確実性に向き合い乗りこなすための術について、深く考えさせられることとなった。政策研究のコースとはいえ民間企業やソーシャルセクターも含めたバランスよい視野が提供されているプログラムだったこともあり、包括的に社会や幅広い産業をスコープに入れた学びを得ることができたと感じている。上述の経験は全て、留学を可能にしてくださった経団連国際教育交流財団の皆様のおかげによるものに他ならない。改めてお礼申し上げる。

修了後は日本に帰国し、コンサルティング企業に就職する予定である。「産業リーダー人材育成」という名前の奨学金をいただいた立場として、それに恥じない社会への貢献ができるよう、今後も研鑽を積んでいきたいと考えている。

ポルトガルのペーナ宮殿で、一緒に旅した友人たちと。
左から2人目が筆者。
先生が企画したハイキングにて。
2列目右から3人目が筆者。
(2023年2月掲載)

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