(公財)経団連国際教育交流財団産業リーダー人材育成奨学生留学報告

人類にとっては小さな一歩、私にとっては大きな一歩?

金山 雄樹 (かなやま ゆうき)
2021年度奨学生
慶應義塾大学からスウェーデン/ストックホルム商科大学に留学

留学中、授業課題などを一緒に行った
2人との記念写真(筆者は中央)

私は、産業リーダー人材育成奨学金をいただき、2021年8月から2023年6月まで、スウェーデンのStockholm School of Economicsの経済学修士課程に留学した。この2年間で、授業や修士論文の執筆に加え、色々な国から来た学生・教授陣との交流、指導教官との共著論文の執筆、カンボジアでの3ヶ月の研究滞在、タイへの6ヶ月の交換留学など、色々な経験を積むことができた。海外在住経験や留学経験のなかった私にとって、これら全てが新鮮で、学びの多い2年間だった。

留学中は、東南アジアやアフリカの教育に関して研究を行った。具体的には、家庭内での教育の波及効果や地域文化との関連などを調べ、学術論文を指導教官達と共著で執筆した。また、修士論文ではモロッコの言語教育政策に着目して、その政策が民族間や男女間の教育格差にどのような影響を与えたか、それが次世代にどのような影響を与えたかなどを、定量的に分析した。未熟ではあるものの、言語教育政策の施行において、教育格差を考慮する必要があることを示す興味深い内容になったと考えている。

この留学を通じて心に残ったことは、とても単純だが、自分の英語力や専門知識が海外でも通用するということを実感できたことである。留学前は、「英語の授業についていけるか」「ちゃんと修了できるか」だけでなく、そもそも「友達ができるか」など、漠然とした不安を抱えていたことを覚えている。だが、友人や指導教官にも恵まれ、少しずつ海外の環境に慣れていく中で、このような不安は薄れていった。さらに、自分の得意科目で学年最高点を獲得できたことや、修士論文や共著論文を執筆する中で自分の意見を指導教官に認めてもらえたことは自信につながった。このような小さな成功体験が、私にとっては留学の大きな成果になった。

留学を終了した今、私はカンボジアの研究機関で働いている。カンボジアは近年、急速に発展しているものの、社会課題は山積しており、カンボジア在住の日本人の数は多くない。私は、科学的根拠の創出を通じてカンボジアの経済発展を支えることで、留学前に掲げた「日本と途上国を繋ぐ架け橋」のカンボジア側の橋脚を作り、2国間関係の更なる深化に貢献したいと考えている。

結びになるが、このような充実した留学生活を支えてくださった経団連国際教育交流財団の皆様に心から感謝を申し上げる。この奨学金を頂けていなければ、ここまで多種多様な活動には関われていなかった。また、担当の方々には、特に留学開始前後の心細い時期を中心に、折に触れて優しいお声がけを頂けたため、辛いことも乗り越えることが出来たと考えている。このように、留学期間を通じて、常に支えてくださったことに心から感謝を申し上げる。

スウェーデンで友人たちと初めて遠出したときの写真
(筆者は左から2番目)
(2023年8月掲載)

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