[ 日本経団連の概要 | 業務・財務等に関する資料 ]

2003年度事業計画

(社)日本経済団体連合会

I.事業計画の概要

2003年1月に公表した新ビジョン「活力と魅力溢れる日本をめざして」で提起した諸施策の実現を図るとともに、経済・産業・労働・社会・国際関係などの側面から、現在、わが国が直面している諸課題を迅速かつ着実に解決していくために、2003年度において、以下の活動に取り組む。

【政策全般】

(1)基本方針等の策定
  〔総合政策委員会〕

総会決議の取りまとめなど、日本経団連としての基本的な活動方針を検討・策定する。

【経済・法制関係】

(1)適切なマクロ経済政策運営の実現
  〔経済政策委員会〕

適切な経済政策運営のあり方について検討し、デフレ経済からの早期脱却を図るとともに、少子・高齢化が進展する中にあっても、中長期的な安定成長を実現するための方策を検討する。

(2)社会保障制度、税制、財政構造の一体的改革の実現
  〔社会保障委員会、税制委員会、財政制度委員会、雇用委員会〕

年金、医療、介護、雇用保険など社会保障制度の抜本的な改革、主要歳出項目の合理化・効率化などの財政構造改革、ならびに活力ある日本経済の構築に資する大胆な税制改革に一体的に取り組む。

(3)複線的金融システムの構築
  〔金融制度委員会〕

産業金融モデルと市場金融モデルのバランスが取れた複線的金融システムの構築に向けて、金融・産業の一体的再生をめざした不良債権処理の加速、市場行政と業者行政の分離をはじめとする事後監視システムにふさわしい検査・監視・監督体制の確立などの課題に取り組む。

(4)経済法制のさらなる整備
  〔経済法規委員会〕

自己株式取得の定款授権制度などの早期実現を図るとともに、2005年予定の商法の全面的改正に経済界の要望を反映させる。
また、会計・開示については、国際的調和のあり方を検討し、関係方面に働きかける。

【行革・産業・国土関係】

(1)規制改革・行政改革のさらなる推進
  〔行政改革推進委員会〕

規制改革分野において「民主導・自律型システム」を確立する観点から、経済界における具体的な規制改革要望を取りまとめるとともに、横断的な規制改革の推進方策を検討し、よりスピード感のある集中的な改革の推進を求める。また、総合規制改革会議や経済財政諮問会議など、関係機関への支援・働きかけを行う。

(2)構造改革の着実な進展、新たな成長分野の振興
  〔産業問題委員会、農政問題委員会、新産業・新事業委員会〕

経営者がリスクに挑戦しつつ、資本効率を重視した経営を実践していくための諸施策を検討するとともに、農業分野を含め、構造改革の着実な進展を働きかける。
また、ベンチャー企業と大企業の間の情報・意見交換、人的交流の促進により、起業家精神を涵養するとともに、企業間の連携を推進する。

(3)ITの利活用の促進
  〔情報通信委員会〕

「一つ」の電子政府、安心・安全で自由なネット社会の実現などに向け、検討を行い、経済界の意見を政府の施策に反映させる。また、電波の有効利用方策を検討するとともに、ブロードバンドコンテンツの円滑な流通に向けた環境作りを支援する。

(4)都市再生と地方振興、良好な居住環境の実現
  〔国土・都市政策委員会、住宅政策委員会、地域活性化委員会〕

都市再生が実効あるものとなるよう提言を行うとともに、PFI事業の推進、地方振興に係る具体的方策の検討に取り組む。また関係方面と連携の上、都市再生と産業政策の融和を推進し、地域性に基づいた施策の実現を図る。
さらに、今後の住宅政策のあり方について、税制面を含めた検討を行い、総合的な提言を取りまとめる。

(5)物流効率化、流通分野における改革の推進
  〔輸送委員会、流通委員会〕

物流効率化に向けた検討を深め、輸出入・港湾関連手続きの簡素化、標準化に向けた業務改革に関する具体的な提案を行う。また、わが国の流通分野における高コスト構造の是正などに向けた提言を行う。

【技術・環境・エネルギー関係】

(1)競争力を有する科学・技術基盤の整備と先端技術の事業化・産業化
  〔産業技術委員会、海洋開発推進委員会〕

産学官連携の推進を図るとともに、知的財産立国の具体化、国際標準化戦略の推進に取り組む。また、ナノテクノロジーなど重点分野の技術開発政策について検討し、先端技術の事業化・産業化に向けた取組みを強化する。
さらに、海洋開発の産業化、海洋関連産業の活性化などについても取り組む。

(2)地球温暖化問題への対応と廃棄物問題への取組み
  〔環境安全委員会〕

温暖化対策に係る環境自主行動計画の着実な実施を促すと同時に、自主行動計画の透明性・信頼性の向上を図る。また、経済と環境を両立させうる国際的枠組みの構築などに取り組む。
廃棄物・リサイクル問題についても、産業界の自主的取組みを推進する。

(3)エネルギー政策の着実な推進
  〔資源・エネルギー対策委員会、ITER日本誘致推進会議ほか〕

エネルギーの安定供給の重要性について、関係方面に働きかけるとともに、安全の確保を大前提に、原子力を着実に推進するよう取組みを強化する。また、国際熱核融合実験炉(ITER)のわが国への誘致に向けた活動を展開する。

(4)防衛生産・技術基盤の維持・強化
  〔防衛生産委員会〕

わが国安全保障の基礎をなす防衛生産・技術基盤の維持・強化を図るべく、「中期防衛力整備計画」の着実な実施や「防衛計画の大綱」の見直しなどを関係方面に働きかける。

(5)宇宙開発利用の促進、宇宙産業の競争力強化
  〔宇宙開発利用推進会議〕

宇宙の産業化・商業化の推進に向けた検討を行い、その実現を働きかける。

(6)自然保護プロジェクトの推進
  〔自然保護協議会〕

内外のNGOが行う自然保護プロジェクトを支援するとともに、自然保護に関する啓発・広報活動を行う。

【社会関係】

(1)広報・出版活動の積極的展開
  〔広報委員会ほか〕

政策提言や活動の背景・内容を、各種媒体を通じて広く訴え、理解と支持を得る。同時に、会員に情報を提供し、経済界における合意形成を図る。

(2)政策本位の政党政治の実現
  〔政治・企業委員会、企業人政治フォーラム〕

政策本位の政党政治の実現に向けて、政党への支援策、政策起業家育成構想を検討し、実施を図る。

(3)企業・経済界に対する社会の共感と信頼性の向上
  〔企業行動委員会〕

「企業行動憲章」の周知徹底と不祥事防止のための実効ある社内体制などの整備促進を呼びかける。また、内外における企業行動関係の規格化などの動きについて情報提供に努める。

(4)企業の社会貢献活動の推進、NPO等との連携・協働の支援
  〔社会貢献推進委員会、1%(ワンパーセント)クラブ〕

企業に対する評価軸が多元化する中で、社会貢献活動のあり方や必要な社会基盤の整備について検討し、その実現を図る。また、社会の課題解決に向けた企業とNPOの連携・協働を支援し、その交流を促進する。

(5)教育改革等の推進
  〔教育問題委員会〕

教育への競争原理の導入や多様な教育サービスの提供が実現するよう働きかける。
また、若年者の職業観の形成・向上を図るべく、産学が連携して取り組むべき課題を取りまとめるとともに、公平・公正な就職採用のあり方を検討する。

(6)防災対応の推進
  〔防災に関する特別懇談会〕

企業の防災・危機管理体制の望ましい水準、地域の防災体制における企業の役割、行政への要望などを検討し、その実現を働きかける。

【労働関係】

(1)企業経営者が採るべき指針の策定
  〔経営労働政策委員会〕

「経営と人」に関する基本的な考え方を総合的に検討し、春季労使交渉に際して、全国の企業経営者の指針となる報告書を取りまとめる。

(2)適切な雇用対策のあり方の検討
  〔雇用委員会〕

雇用形態の多様化が進行する中で、需給ミスマッチ解消のために、適切な雇用対策のあり方を検討する。雇用保険制度改革などに取り組むほか、高齢者雇用制度のあり方や外国人労働者の受入れシステムなどについて検討する。

(3)人事・賃金管理のあり方、ダイバーシティ・マネジメントの検討
  〔労使関係委員会、人事労務管理委員会〕

企業の国際競争力の維持などの観点から、非正規従業員の人事・賃金管理のあり方を検討するほか、法定最低賃金問題への対応を検討する。また、多様な人材を活かすダイバーシティ・マネジメントの研究を行う。

(4)労働法規のさらなる整備
  〔労働法規委員会〕

就業構造が大きく変化する中、これからの労働法制のあり方、特に労働基準法のあり方について検討する。また、企業組織再編に伴う労働関係に対する規制の動きについて、政府の検討状況を注視し、必要な対応をとる。

(5)自立する中小企業の確立
  〔中小企業委員会〕

「自立する中小企業」の確立に向け、中小企業における経営上の課題を検討し、その克服に向けた方策を探る。

(6)少子化対策の推進
  〔国民生活委員会〕

少子化に対して経済界ができうる対応や企業における男女共同参画の推進などを検討する。また、政府の少子化対策に関する取組みに対して、経済界として意見の反映に努める。

(7)国際労働・社会分野に関する議論への参画
  〔国際労働委員会、NICC協議会〕

ILOを中心とする国際労働・社会分野におけるルール作成や議論に参画するとともに、企業活動のグローバル化に伴って発生する労働・社会分野の課題に取り組む。

【国際関係】

(1)自由貿易体制の推進・強化
  〔貿易投資委員会〕

WTO新ラウンド交渉において、わが国経済界の意見が反映されるよう、提言の取りまとめやミッションの派遣などを通じて、内外の関係者に働きかける。
また、二国間および地域協定を含む、わが国の通商政策のあり方について、関係委員会と連携しながら、検討を進める。

(2)ODA改革と途上国への経済協力の推進
  〔国際協力委員会〕

政府のODA総合戦略会議が今後のODA改革に資するものとなるよう、その動きを注視するとともに、ODA大綱の見直しを含め、わが国ODAのあるべき姿に関し、経済界の意見を取りまとめ、提言する。

(3)BIAC活動への積極的参加
  〔OECD諮問委員会〕

OECDで検討される様々な国際ルールの策定や政策提言に、わが国経済界の立場と見解を反映させるべく、政府やBIACと密接な連携を取りながら積極的に働きかける。

(4)北米
  〔アメリカ委員会、カナダ委員会〕

日米間の民間対話の強化に努めるべく、米国の有力経済団体との交流拡大、連携の強化を図るほか、日米自由貿易協定を念頭に、両国市場統合のあり方を検討する。また、日加経済連携の促進などを図る。

(5)欧州
  〔ヨーロッパ地域委員会〕

2004年に予定されているEU拡大とわが国企業への影響について把握するとともに、欧州との経済関係の一層の緊密化を図るため、ミッションの派遣の検討、アジア欧州ビジネスフォーラムへの参画などを行う。

(6)アジア・大洋州
  〔アジア大洋州地域委員会ほか〕

日・ASEAN包括的経済連携構想について、その早期具体化を求めるとともに、日韓自由貿易協定や日タイ経済連携協定の実現を働きかける。また、ABAC日本支援協議会を通じてわが国経済界としてAPECの活動に効果的に取り組む。
二国間関係では、東亜経済人会議、香港、韓国、インドネシア、ミャンマーなどとの合同会議を開催する。中国との関係強化に向け、WTO加盟後の通商問題などについて提言を取りまとめる。加えて、各二国間委員会と連携を取りつつ、日本ASEAN交流年2003事業に協力する。

(7)中南米
  〔中南米地域委員会ほか〕

中南米諸国との経済交流を促進するとともに、同地域での地域経済統合の進展状況および米州自由貿易地域(FTAA)の交渉状況などについて情報収集を行う。
二国間関係では、メキシコとの合同会議の開催に向けた検討を行う。

(8)中東・アフリカ
  〔中東・北アフリカ地域委員会、サブサハラ地域委員会ほか〕

中東諸国との経済交流の拡大に努める。また、中東和平プロセスの動向を注視しつつ、イスラエルとの経済関係を一層強化する。
二国間関係では、アルジェリアとの合同会議の開催に向けた検討を行う。また、第3回アフリカ開発会議に向けて、経済界として協力を行う。

(9)ロシア・NIS
  〔日本ロシア(NIS)経済委員会〕

対ロ貿易・投資の促進に向け、ロシアの税制・法制の整備と公正な運用など、ビジネス環境の整備を働きかけるとともに、日ロ貿易投資促進機構の円滑な運営に協力する。また、ウクライナとの経済交流活性化に向けたミッションの派遣を検討する。

(10)経営者団体間の交流・協力

各国の経営者団体との友好関係の維持・向上を図り、また労働関係者と積極的に意見交換を行う。日中両国経営者間の交流と相互理解の促進に向け、日中産業シンポジウムを開催するほか、第6回アジア太平洋経営者サミットを開催する。
アジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)の会長団体として事務局を務め、会員団体の協調と結集を進めてCAPEの発展を図る。

II.総会・役員会等

(1)総会<1回>

〔事業計画・報告、収支予算・決算、役員、決議などの重要事項を決定する〕

(2)理事会<11回>

〔運営上、特に重要な基本的事項を審議・決定する〕

(3)常任理事会<5回>

〔理事会の委任を受けて、運営上の重要事項を審議する〕

(4)会長・副会長会議<11回>

〔運営上、特に重要な基本的事項を審議する〕

(5)評議員会<1回>

〔会長の諮問に答えるとともに、会長に対して意見を述べる〕

(6)評議員懇談会<2回>

〔重要政策課題に対して意見を述べる〕

(7)評議員会議長・副議長会議<4回>

〔評議員会の委任を受けて、運営上の重要事項に関し会長の諮問に答えるとともに、会長に対して意見を述べる〕

(8)地方団体長会<2回>

〔会長の諮問に答えるとともに、会長に対して意見を述べる〕

(9)監事会<1回>

〔財産状況および業務執行状況を監査する〕

(10)財務委員会<1回>

〔財務に係る事項を審議する〕

(11)顧問・推薦会員懇談会<4回>

〔当会の活動に対して助言する〕

(12)事業委員会<1回>

〔経団連会館などの運営に関する事項を審議する〕

(13)新入会員代表者との懇談会<3回>

〔新入会員に対し、当会の主要な活動を紹介するとともに、当会への要望ならびに期待を聴取する〕

(14)東富士夏季フォーラム<1回>

〔会長・副会長、評議員会議長・副議長などが内外の重要問題を集中討議する〕

以上

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