世界経済が同時不況に突入するなか、わが国経済もこれまで経験したことがない大変厳しい局面にある。まずは、政策を総動員して、景気の底割れを防ぎ、雇用の維持・安定を図るとともに、構造改革を強力に推進し、中長期的な成長基盤を構築する必要がある。
2009年度は、わが国経済が直面する危機的な状況から早期に脱却し、真に豊かな経済社会の実現に向けた基盤を構築していくために、経済・産業・社会・経営労働・国際等の各分野で、政策提言の取りまとめとその実現を中心に、以下の活動に取組む。
総会決議の取りまとめ等、日本経団連としての基本的な活動方針を検討・策定する。
経済情勢の変化を的確かつ迅速に把握する。また、新たな産業構造を展望しつつ、内外需のバランスのとれた経済成長を実現していくための方策について提言する。
経済活性化に資する税制等の実現を図る。同時に、中長期的視点に立ち、税制抜本改革が2010年代半ばまでに着実に実現されるよう働きかける。
即効性のある需要創出策、雇用のセーフティネットの拡充等大規模な景気対策の実現と景気回復後の中長期的な財政規律の維持を働きかける。
国民が安心・安全でいきいきとした暮らしができる社会の実現を目指し、社会保障番号・カードの導入等も含め、医療・介護、年金の全般にわたる社会保障制度改革の推進に向けて、働きかける。
未曾有の金融危機に対応し、企業の資金調達が円滑に行えるような国際競争力のある金融・資本市場の構築を目指す。
コーポレート・ガバナンスのあり方に関する考え方を取りまとめ、内外に理解を求めるとともに、公正取引委員会の審査・審判手続の抜本的見直しを働きかける。国際会計基準のわが国への円滑な導入に向け、具体的な検討を進める。
道州制の導入に向けて、意見を取りまとめるとともに、全国各地でのシンポジウム開催をはじめ、政府、与野党、各地域での道州制論議がさらに高まるよう働きかける。
規制改革の断行を働きかける。
わが国産業の競争力強化に貢献できる有為な人材の育成・確保に向けた提言を取りまとめ、実現を働きかける。新事業の創出のための具体的な施策を提言し、雇用の創出を図る。
国際物流におけるわが国のハブ機能の強化を図るとともに、道路、港湾、空港等の交通インフラの整備に関する意見を取りまとめる。
食料を安定的に供給するための体制の構築に向けて、具体的政策の実施を働きかける。
都市・地域の活性化、PFIの推進、観光振興、住宅・住生活の向上に向けて、具体的提案を行い、その実施を働きかける。
わが国の雇用創出と成長力強化に資する国家的プロジェクトの実現に努める。政府の第4期科学技術基本計画策定に資する提言を取りまとめる。
知的財産推進計画の策定に資する具体的提言を取りまとめる。
政府の電子行政の推進に向けて働きかける。政府の「デジタル新時代に向けた新戦略」に対する提言を取りまとめ、実現を働きかける。
次期「防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」の策定に資する提言を取りまとめる。宇宙開発利用の推進体制・法制の整備を働きかける。海洋プロジェクトの推進を働きかける。
「環境自主行動計画」を着実に実行する。ポスト京都議定書(2013年以降)への対応を行う。廃棄物の適正処理とリサイクル双方の推進を図る。
3E(安定供給、経済性、環境配慮)を実現するエネルギー政策の立案・遂行に向けて、活動を行う。
日本経団連の政策提言や考え方の実現に向け、その内容と背景について各種媒体を通じて広く訴え、理解と支持を得る。
会員に対して、「企業行動憲章」の周知や徹底を呼びかける。簡素で実効的な消費者行政の実現を働きかける。
株主、従業員、消費者・ユーザー、NPO等のステークホルダーと交流を図りながら、社会的課題の解決に寄与する社会貢献活動のあり方を模索し、税制など基盤整備を働きかける。
政策本位の政治の実現に向けて、政党の政策評価を実施する。各種レベルで政党との政策対話を行う。
社会総がかりの教育支援実現のため、教育と企業の連携を促進する。
企業の総合的な防災・減災体制の整備・充実や危機管理能力の強化を会員に呼びかけ、実効性を高めるための活動を推進する。
春季労使交渉・協議に臨む経営側の基本的指針となる報告書を取りまとめる等、経営と労働に関する日本経団連の基本的な考え方を提示する。
円滑な労働移動の促進とセーフティネットの強化を通じた雇用の安定に取組む。
会員の人事制度に役立てるため、企業グループ全体の人的基盤を強化していくための方策を取りまとめる。
改正労働基準法、有期労働契約、事務系労働者の労働時間制度、企業におけるメンタルヘルス対策、育児・介護休業法改正等、労働関連法制について、産業界の考えを取りまとめ、実現を働きかける。
中小企業の経営に役立てるため、人の観点から課題の抽出と解決策の提案を行う。
政府の新型インフルエンザ対策の進捗状況等について会員に情報提供するとともに、経済界としての対策のあり方を探る。
政府の保育サービスの新たな制度体系づくり、ならびに少子化社会対策大綱及び実施計画の立案に際して、経済界の意見反映を図る。
ILOを中心とする国際労働・社会分野におけるルール作成や議論に参画する。NICCが行う国際協力活動を支援する。
WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結等、多角的自由貿易体制の維持・強化を推進するとともに、投資協定や社会保障協定の締結等、わが国海外投資の法制的基盤の整備を働きかける。
世界経済の困難時にこそ、わが国が国際協力でリーダーシップを発揮すべきであるとの認識に立ち、予算の拡充、官民連携による効果的運用を通じて、ODA等を戦略的に活用した外交の展開を求める。
貿易・投資の自由化等に関するOECDの取組みに、BIACを通じて、わが国経済界の考えを反映させる。
東アジア包括的経済連携(ASEAN+6)をはじめ、地域経済連携の推進に向けて取組む。アジア・大洋州諸国、湾岸協力会議やEU、米国等との自由貿易協定、経済連携協定の締結を働きかける。
イタリアで開催される、第4回G8ビジネス・サミットに参加し、わが国経済界の意見反映を図る。
米国及びカナダとの経済連携の強化に向けて働きかけを行う。
日・EU経済連携協定の締結を改めて求める提言を取りまとめる。会長を団長とするミッションを西欧に派遣する。
インド、豪州等との経済連携協定の早期実現に向け、関係方面に働きかける。各国との合同会議を開催する。
各国要人との懇談等を通じ中南米諸国との経済関係の強化を図る。
中東・北アフリカ諸国との間で、エネルギー分野をはじめ多分野にわたる重層的な関係の構築に努める。
ロシアへのミッション派遣、第10回日本ロシア経済合同会議の開催等を行う。
地方経営者協会、各国の経営者団体との交流拡大と連携強化を図る。
日本経団連事業サービス、21世紀政策研究所、経済広報センター等の主要関連団体や、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会、国際文化教育交流財団(石坂財団)等の奨学事業に対する協力を行う。
公益活動を行う機関等が、経済界に資金援助を求める、いわゆる「経済界募金」に対して協力する。