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改革を加速させ「新たな飛躍」の年とする

〜日本経団連会長新年メッセージ〜

2006年1月1日
(社)日本経済団体連合会
会長 奥田 碩

日本経済は、ようやく曙光を見出せる局面に至った。企業による経営革新の努力に加え、構造改革に向けた小泉総理の情熱と国民の旧弊打破への意思がこれを可能にした。しかし、グローバル化やICT高度化の波は大きく速い。また我々はいままさに、超高齢社会・人口減少社会に足を踏み入れようとしている。そうしたなかで、改革の成果が問われるのはこれからであり、改革はいまだ道半ばであるといわざるを得ない。「活力と魅力溢れる日本」の実現のために改革の流れを加速させ、本年を「新たな飛躍」の年としたい。

日本経済を自律的かつ持続的な成長に導くのは、民の力にほかならない。不安定な原油、資源価格や海外経済の動向などの楽観できない要因はあるものの、企業業績の回復が、設備投資や個人消費、住宅投資の拡大に結びつくなど、民需中心の好循環が始まっており、これをさらに拡大、加速させることが求められる。いまこそ、「小さな政府」を実現することが重要であり、政府は、行政改革を着実に実施していくための推進法案を早期に策定するとともに、国・地方を通じた歳出・歳入両面の改革や、社会保障制度の一体的改革に取り組むべきである。また、新しい成長の基盤を創る観点から、規制改革・民間開放や国際競争力の強化に資する税制の確立、経済法制の整備、「科学技術創造立国」の実現、エネルギー・環境政策の一体的推進、ICTの利活用促進、世界最先端のコンテンツ産業の創造、「国際観光立国」の実現、豊かな地域・都市づくり、とりわけ個性を活かした地域の活性化を図る必要がある。加えて、21世紀にふさわしい教育の確立、若年者や高齢者等の適切な雇用政策、重点的・効果的な少子化対策を進めるべきである。

対外政策の分野では、BRICsの急速な台頭や東南アジア諸国、中東欧、中南米諸国の着実な成長など、国際環境の変化が経済大国・日本に新たな役割を求めている。WTO新ラウンドの成功、アジア太平洋地域等における経済連携の強化、さらにはインフラ整備や人材育成を通じた途上国への発展支援などの面で、積極果敢な対応が求められる。日本経団連としても、民間外交を通じて課題解決に力を尽くしたい。

わが国の政治は、ようやく政党主導のシステムへと変化を遂げつつある。今後、国の基本的枠組みの再構築や政策の意思決定において、惰性を排し、与野党四つに組んだ正々堂々の政策論争が展開されることを期待する。日本経団連としても、政党が公的助成への過度の依存を脱し、民間が主体となって支える健全な政党政治が実現するよう、個人や企業に自発的な政治寄付のさらなる拡大を呼びかけていく。

企業は今日、社会の健全な発展に貢献し、国民の信頼を得るに値する存在たりうるかが問われている。日本経団連は、早くから企業倫理の確立に向け、企業に自主的な取り組みを訴えてきた。さまざまな形で露呈する企業不祥事の根本原因は、グローバル化や情報化の進展により環境が大きく変化する一方で、わが国の社会や企業の慣行、仕組みなどがそれに適応できていないことにある。経営者は全責任を持ち、先頭に立って、グローバルに通用する経営理念や行動規範を構築するとともに、自ら事業の現場に足を運び、その実態に即し実践的な活動に取り組むよう望みたい。

以上

参考−本年の重要政策課題−

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