月刊 Keidanren 2001年7月号 巻頭言

商法改正への期待

片田副会長 片田哲也
(かただ てつや)

経団連副会長
コマツ取締役相談役

 最近は、明治維新、第二次世界大戦後に続く第三の大立法時代といわれているが、この中で商法(会社法)の抜本的改正が進められており、4月には法務省から中間試案が公表されパブリックコメントに付された。今回の商法改正については、法制審議会の改革も行われ、法務省も体制整備・強化して取り組むなど、極めて短期間で精力的に取りまとめられ、その努力には敬意を表したい。

 経団連では、時代の変化に対応して、立法当局や行政当局に対する積極的な提案・要望をタイムリーに行っており、今回の商法改正についても、昨年10月には「商法改正への提言」を公表した。中間試案では経団連の提言の多くの項目が取り入れられており、全体としては前向きに評価することができる。

 しかしながら、中間試案の内容の一部にはなお、問題点がある。すなわち、会社機関に関する部分については、経済界の実情に合わない、規制強化的な部分が見受けられることである。具体的には、大会社の全てに社外取締役の導入を強制していること、取締役の任期を、現行法の「二年以内」から「一年」に短縮していること等で、その内容は、現在議員立法で取り組まれている「代表訴訟制度改正」に関連する監査役制度の強化との整合性を欠き、修正が必要である。

 この他にも、現行の監査役制度との選択肢として設置される監査委員会については、指名・報酬の委員会も一体として導入することを規定し、硬直的に過ぎる仕組みとなっている。コーポレートガバナンス強化の見地から、制度整備を図るのは望ましい方向であるが、経営組織についての企業の自主性(選択性)の余地を残すことも重要ではないか。

 経団連では、経済法規委員会を中心に会員の意見を集約し、パブリックコメントに回答をしたが、法制審議会の場でわれわれの意見が反映され、より使いやすい商法改正が実現することを強く期待するものである。


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