経済くりっぷ No.9 (2002年11月26日)

11月8日/産業問題委員会(委員長 香西昭夫氏、共同委員長 齋藤宏氏)

「官」から「民」へ〜構造改革特区の推進に向けて

−鴻池担当大臣と懇談


産業問題委員会では、11月8日、鴻池祥肇構造改革特区担当大臣、中城吉郎内閣官房構造改革特区推進室長を招き、5日に法案が提出された構造改革特区制度について説明をきくとともに、種々懇談した。

I.鴻池大臣挨拶要旨

小泉総理の「官から民へ」「改革なくして成長なし」の方針の下、規制改革を進めているが、実際には思うようには進んでいない。そうした状況を打破するという観点から構造改革特区構想が誕生した。
本日衆議院本会議で法案の趣旨説明をし、今国会での法案成立を目指している。これと併行して、特区に関する第二次提案の募集も開始した。民間からのアイデアをぜひ構造改革特区推進室へどしどし提出してもらいたい。
今回の法案は、私としては不満が残る。それは、教育、医療への株式会社の参入について、厚い壁により阻止されたことである。この点についてはさらに努力を重ねたい。供給者の利益だけではなく、サービスを受ける側の利益もしっかり考えなければならない。

II.中城室長説明要旨

法律の目的は、地方公共団体の自発性を最大限に尊重した構造改革特別区域の設定を通じ、教育、物流、農業、社会福祉、研究開発等の分野における経済社会の構造改革の推進および地域の活性化を図る、というものである。
法律案の内容としては、最初に、政府が実施すべき基本的な方針、構造改革特別区域計画の認定に関する基本的な事項、政府が講ずべき措置についての計画(プログラム)を、構造改革特別区域基本方針として閣議決定する。その中では、講ずることが可能な既成の特例措置(法律・政省令・通達等)について一覧性を確保したものを作成する。
地方公共団体は、この一覧表をもとに、構造改革特別区域計画を作成し、申請を行う。この作成にあたっては、地方公共団体は関係各省庁に各規制の法令解釈を求めることができることとし、各省庁は回答義務を負うこととした。いわゆるノーアクションレターに近いものである。また、申請は地方公共団体が行うが、民間からの提案を積極的に受け入れるため、民間から地方公共団体に提案することができることとした。それが地方公共団体において採用されない場合には、理由等を通知しなければならないこととした。
この申請を受け、内閣総理大臣は、基本方針への適合性、地域活性化効果、事業が円滑に実施されるかどうかなどをみて認定を行う。認定にあたっては、関係行政機関の長の同意を要する。ただし規制の特例措置を講ずることの必要性および要件適合性については地方公共団体の判断を尊重し、関係行政機関の長は原則として同意することとし、裁量的な判断ができないこととしている。計画が認定された場合に、規制の特例措置が適用される。本法案に書き込まれる法律事項である特例措置は14項目である。関係行政機関の長が発する訓令、通達についても、本法律の規定に順じて必要な措置を講じる。特区推進プログラム(10月11日)において、各省庁の政省令、通達等の案の作成にあたっては内閣官房と所要の調整を行うこととされている。
法律の施行日は公布日であるが、認定業務や特例措置の施行は平成15年4月1日である。したがって申請は4月1日以降となる。申請後3ヵ月以内に認定が行われるので、早ければ夏ごろには第一号認定が生まれることになる。
第二次募集については、特に民間からの提案に期待している。今回の募集は2種類である。第1は、一次提案のうち採用されなかったもの、第2は全く新規のものである。これらの提案は原則として公開する。提案主体は問わない。



※構造改革特区の第二次提案募集の詳細は日本経団連のホームページ
http://www.keidanren.or.jp/japanese/news/announce/200211/boshu.html)をご参照ください。

特区法案の基本的枠組み(案)
出所:構造改革特区推進本部資料
《担当:産業本部》

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