経済くりっぷ No.13 (2003年1月28日)

奥田会長の発言から


1月1日(水)
NHKスペシャル「語り合おう再生への道」
−建築家・安藤忠雄氏との対談より


心の時代を取り戻そう

「戦後50年間、日本人は物質的な豊かさを追い求め、それが大体充足された現在、それ以上求めるものが見当たらず、閉塞の時代に向き合っています。今までは欧米の真似をすればよかったわけですが、峠の上まで来て見晴らしが開け、そこで戸惑っている状況です。今まで日本人は個性的ではなく、全員が同じ物を持ちたいということで、画一的な教育や生活をしてきました。21世紀にはお互いの違いを認め合った上で、共感と信頼を持って生きていく必要があります。
人間の生活には片方に経済があれば、もう一方に心がありますが、心の偏差値は低いままで止まっています。今までは、受験勉強が得意で、知識の偏差値が高い人が国を治めてきましたが、時代は安藤さんのようにさまざまな経験を積んだ心の偏差値の高い人を求めています。両方の偏差値がそろって初めて人間は完成するわけで、これからは心の教育が大切となります。21世紀を支える新しい人材の育成を、まず子供のころから家庭で始めなくてはいけないと強く感じています。」


1月6日(月) 経済3団体長新年共同記者会見

2003年は日本を「活力と魅力溢れる国」

「2003年には、社会保障制度の改革に加え、1%に近い経済成長を図っていくことが目標です。失業率もできるだけ下げ、会社や個々人の雇用のセーフティネットをつくりあげていかなければなりません。景気予測については、イラクとの戦争がなければ、今年末でゼロから1%の間の成長率になると予想されますが、戦争が始まると日米経済へ大きな影響が出てきます。
デフレの問題については、日本がデフレ・スパイラルに入らない限り、そのままでいいという見方もあります。中国の13億人の安価な労働力、ITの導入により、世界規模で物価が下落しています。その中にあって、日本が将来、国力をつけ、輝かしい成果をあげるためには、科学技術創造立国を目指し、創造的な技術、誰も真似のできない先端技術を身に付けていくべきです。内需の柱としては、住宅と都市再生があります。1,400兆円の個人金融資産を活用し、もっと広く豊かな住宅を持てれば、日本人の考え方も豊かになり、思いやりの心も広がると思います。」


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