訪パキスタン・ミッション(団長 黒田 眞氏)2/4〜2/7

中東・中央アジアへの窓口 パキスタン


現在パキスタンでは、民間資本の活用により経済を活性化するため、民間投資活動に関する諸規制の緩和、国家独占部門の縮小による民間資本の参入分野の拡大、公開入札による公企業の民営化などを内容とする経済政策を推進している。
経団連ではインドに続き(本誌No.3参照)、パキスタンにもミッション(団員約20名)を派遣し、今後の日本企業による直接投資の進め方や協力の可能性を探ってきた。

  1. 経済自由化の波
  2. パキスタンは人口1億2,000万人、国土面積は日本の約2倍である。イスラム教徒が人口の97%を占める同国はインド以上に日本人にとっては馴染みの薄い国だが、この国にも経済自由化の波は否応なく押し寄せていた。
    1991年2月に発表された「新経済政策」では、経済改革の3本柱として国営企業の民営化、規制緩和、外国為替の自由化が打ち出された。投資活動に関する諸規制の緩和は、特に外資を意識したものである。外貨所持と外貨の国外持ち出しが原則自由化され、外貨預金の保有も認可された。貿易についても手続きの簡素化とともに、アルコールを除き輸入禁止品目の原則撤廃、輸入用外貨借入の自由化、関税率の引き下げなどが実施されている。

  3. インフラ整備に対する期待
  4. ミッション受け入れに対するパキスタン政府の意気込みはインドのそれを凌ぐものであった。首都イスラマバードで持たれた経済関係官庁との会議には、パキスタン政府の窓口である投資委員会をはじめ大蔵省、工業省、商業省、鉄道省、水利電力省、通信省の各省次官が勢ぞろいした。
    とりわけパキスタン側は、電力、電話、鉄道、道路などのインフラ整備事業への日本企業の積極的な参加を呼びかけた。これに対して日本側からは、資金規模や収益性、リスク管理の点でインフラ整備に一民間企業が単独で取り組むことには限界があるとの発言もあり、双方の発言には若干の隔たりがみられたが、日本企業の進出を願う先方の熱意は手に取るように感じられた。

  5. 地理的条件の有利性
  6. 南にアラビア海、西に中東、北に中央アジア諸国が連なるパキスタンは、中東・中央アジア市場への新たな進出拠点として期待される。今後、この地理的条件を活かしたガス・パイプラインの建設など各種のプロジェクトが注目されることになろう。
    最後にミッションはカラチを訪れた。同市はアラビア海に面した商業都市だが、治安が悪く、連日殺傷事件が多発している。政府関係者との会議でも、早急に改善策を講じるよう現地駐在の日本企業関係者から強い要請が出された。パキスタン政府側の対応が求められる。


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