宇宙開発推進会議(委員長 稲葉興作氏/部会長 東海林恵二郎氏)/2月9日

1995年度宇宙開発予算の政府案は 2285億円、5.1%増


経団連では、宇宙開発推進会議を中心に、昨年6月、意見書「今後の宇宙開発に対する要望」をとりまとめ、今後推進すべき重要プロジェクトを指摘するとともに、宇宙開発予算の飛躍的拡充を関係方面に訴えている。
そこで1995年度の宇宙開発予算政府案に関する説明会を開催した。

科学技術庁・坂田宇宙企画課長 説明要旨

95(平成7)年度宇宙開発予算の政府案は、2,285億円で対前年度予算比5.1%増となった。これは例年の伸び率より低いが、一般歳出の伸び3.1%と比べると高い。
開発の段階が進んだプロジェクトとして、ADEOS-II(環境観測技術衛星)、OICETS(光衛星間通信実験衛星)がある。宇宙ステーション計画に関して、JEM(宇宙ステーション取付型モジュール)はアメリカのスペースシャトルで打上げることになっているが、最近は、各国それぞれの輸送手段で打ち上げるという議論も出ており、今後、注目する必要がある。J-1ロケット(小型ロケット)は、来年、初号機を打ち上げる予定である。
HOPE-X(宇宙往還技術試験機)は、概算要求からかなり削られ、開発の段階も進まないことになったが、打上げは1999年で変更はない。航空宇宙技術研究所のHOPE-X関係予算を加えると、昨年比58%増(75億円)になる。
今後の有人宇宙活動にむけて重要な宇宙医学の研究にも予算がついた。
文部省宇宙科学研究所のプロジェクトでは、大型のM-Vロケットが96(平成8)年度に打上げられる予定である。
21世紀をにらんで、昨年7月に長期ビジョンを出したが、ビジョンの中で触れたプロジェクトに対してはおおむね予算がつき、その意味で将来の足掛かりはできたと考えている。
最後に、最近、打上げ関係で不具合が続いているが、今度のH-IIロケット3号機の打上げは、ぜひとも成功させたいと思う。

宇宙開発事業団・樋口計画管理部次長 説明要旨

「きく6号」は、楕円軌道を周回しているものの、かなりの通信実験を行っている。しかし、この不具合を反省し、宇宙開発事業団では開発体制のあり方を検討するための室をつくった。
主要課題であるH-IIロケットの低コスト化に関しては、現在の190億円を140億円にまで下げようとしている。今後、低コスト化を進めると同時に安全性も高めたい。
JEM関係では、土井飛行士が本年3月からNASAのミッション・スペシャリスト候補としてアメリカで訓練することになった。


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