流通構造変革は、民間事業者の事業革新により推進されるものであり、政府は規制緩和を推進すべきである。大店法の段階的廃止等、「規制緩和推進計画」を前倒しで実行するとともに、計画内容の拡充を図るべきである。
地方公共団体においても、独自規制を抜本的に見直すとともに、行政手続条例を早期に制定すべきである。
政府は、意欲ある中小事業者の事業革新を積極的に支援すべきである。中小卸売業については、水平的・垂直的連携を強化する観点から、共同輸入や共同配送、情報化等の取組みに対し重点的に助成すべきである。中小小売業については、従来の商店街整備を軸とした支援策から、今後は魅力あるまちづくりの観点から、意欲と能力のある個店の事業革新に重点を置いた選択的な支援策を強化すべきである。
その際、三公庫一事業団からなる政府系中小企業金融機関の役割も見直し、中小企業政策の効率的一元的展開を検討すべきである。
規制緩和の実効を上げるため、政府は競争政策の適切な運用を図る必要がある。とりわけ、大規模小売業のバイイングパワーの増大に伴う諸問題にも配慮すべきである。民間事業者においても、商慣行の透明化に努める必要がある。
流通委員会報告「循環型流通システムの構築に向けて」(94年4月)で指摘した通り、官・民・消費者が相互に協力し、廃棄物の回収・リサイクルを視野に入れた循環型流通システムを構築することが求められている。
QR、ECR等の普及を図り、流通システム全体として効率化を推進する必要がある。このため、POSやEDI等情報システムの導入・普及等に関連業界が連携して取り組む必要がある。
規制緩和の進展や商品選択肢の幅の拡大に伴い、消費者が正しい情報に基づき判断が行えるよう、民間事業者は、情報提供の充実に努めていく必要がある。またPL法施行に伴い、商品の安全性チェック等適切な対策を講じていく必要がある。