行政改革推進委員会(委員長 今井 敬氏)/10月12日

規制緩和推進計画の改定に望む


経団連では、本年度末に予定される規制緩和推進計画の改定に、経済界の意見の反映を図ることにしている。10月12日には、行政改革推進委員会を開催し、各委員会で取りまとめた規制緩和要望を総合した意見書「規制緩和推進計画の改定に望む」を取りまとめ、来賓として出席の江藤隆美総務庁長官に建議した。

江藤総務庁長官挨拶要旨

  1. 政府では、さる3月31日に1,091項目からなる規制緩和推進計画を策定した。現在5ヵ年計画を3ヵ年に前倒しして取り組んでいる。
    年度内には計画の約60%が実施される見込みであるが、既にユーザー車検に伴う車の整備費用の軽減や、地ビール、PHS等新産業・新事業の創出効果が現れている。さらに11月には、新食糧法が施行され、コメの流通規制が大幅に緩和されることになる。

  2. ただ、APEC大阪会議を目前にして、農産物価格支持制度の見直し等の議論があるが、防衛産業と同様国の根幹に係わる問題である。高い肥料や飼料代、資機材、エネルギーコスト等わが国に固有の事情もあり、これらを勘案し、国全体の問題として十分に議論、検討する必要がある。

  3. NTTのあり方については、経営体質の改善や国際競争力の向上の観点から検討する必要があるが、国鉄のように地域分割に伴う問題も想定され、初めに分割ありきという考え方は危険である。しかし、経営の体質や競争の中で、今のままで良いのかを国民的視野に立って議論する必要がある。

  4. 郵政3事業は、行政改革の問題として、財投システムを含め、幅広く議論する必要がある。

  5. 規制緩和は痛みを伴うものであり、利益を受ける人もいれば、そうでない人もおり、調整が必要である。弱者のために汗を流すのが政治であると考えており、規制緩和はこうした痛みに配慮しつつ進める必要がある。

経団連意見書

  1. 計画の評価と改定に当たっての政府への期待
  2. (1) 内閣への期待
    規制緩和推進計画改定スケジュールの早期公表、行政改革推進本部における実効ある形での内外からの意見・要望の聴取、見直しの視点の一層の厳格化。
    (2) 行政改革委員会への期待
    規制緩和小委員会が公表した46項目の論点全てについて、大胆な提言の取りまとめ。

  3. 計画の円滑な実施のために官民の果たすべき役割
  4. (1) 行政の役割
    適切な経済運営と個別対策、競争政策の積極的展開、地方自治体の規制緩和と行政手続条例の早期制定
    (2) 行政改革委員会の役割
    計画の実施状況の監視と改善策について意見具申・勧告、監視結果の公表、既往の閣議決定の実施状況の監視
    (3) 民間事業者の役割
    規制緩和に伴う痛みを覚悟する経営姿勢、不透明・不公正な商慣行等の是正、規制緩和の成果の活用

  5. 具体的な要望項目
  6. 17分野588項目(新規217項目)につき要望。各分野の主な項目は以下の通り。

    (1) 土地・住宅分野
    (都心居住推進のための規制緩和/竣工検査内容の簡素・合理化/木造三階建て共同住宅の建設可能地域の拡大
    (2) 情報通信分野
    第一種電気通信事業の参入規制緩和/道路占用規制の緩和
    (3) 流通分野
    大店法の段階的廃止/一般酒類小売業免許・製造たばこ小売販売許可に係わる需給調整の観点からの参入規制の廃止/医薬品の一般販売業許可の許可基準の大幅緩和
    (4) 農業分野
    新食糧法運用面での規制緩和/農業生産関連の規制緩和/農産物価格支持制度等の見直し
    (5) 運輸分野
    営業用車両の車検期間の延長、トラック事業者の最低保有台数基準の見直し/国内航空路線における運賃・料金規制の見直し、競争促進策の推進/内航海運の船腹調整事業の計画的解消に向けたスケジュール明確化、国際船舶制度の創設
    (6-1) 通商分野
    輸入促進地域(FAZ)制度の改善/民間職業紹介事業、労働者派遣事業の自由化/不合理な関税や高関税の見直し
    (6-2) APEC関連分野
    農産物等の高率関税・関税格差の是正/商用ビザの取得手続の透明化・簡素化
    (7-1) 金融・保険分野
    金融業務の自由化、金融持株会社制度創設の検討/厚生年金基金の資産運用規制の見直し/債権流動化手法の多様化
    (7-2) 証券分野
    時価発行増資に係る規制の撤廃/CP発行に関する規制緩和/株式委託手数料の段階的自由化
    (7-3) 国際金融分野
    外為法における資本取引に係わる規制の緩和/外為法における特殊決済に係わる規制緩和
    (8) エネルギー分野
    石油化学製品製造用の原油及びナフサの同時蔵置禁止規定の廃止
    (9) 環境・廃棄物分野
    産業廃棄物の分類・判定基準等の見直し/自社廃製品の収集・運搬に関する業の許可の緩和
    (10) 保安・安全分野
    保安関係法令の規制の重複排除、整合性確保/自主検査・自主保安の推進/ガソリンスタンドのセルフ化
    (11) 経済法規・会計分野
    自己株式取得・保有規制の緩和/株主代表訴訟制度の見直し/借地借家法の見直し
    (12) 技術開発分野
    研究公務員、教育公務員の兼業規制緩和/政府の委託研究等の成果の取扱の改善/海洋浮体構造物の製造、設置、定期検査等に関する多重規制排除
    (13) 競争政策分野
    純粋持株会社の解禁/大規模会社の株式保有総額の制限の廃止・国際契約に関する届出義務の廃止
    (14) 公益法人分野
    民間公益法人の設立許可の簡素化/特定公益増進法人の認定の弾力化

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