経団連意見/10月11日

豊かな高齢化社会に向けた税制の抜本的改革を要望


経団連では、10月11日に税制委員会(委員長:久米・日産自動車会長)を開き、税制改正に関する提言を取りまとめた(17日に第568回理事会で承認)。
今回の提言においては、高齢化社会の到来に向けた経済構造改革の一環としての税制の中長期的なあり方を示すとともに、現在の厳しい経済情勢をふまえ、企業の法人税負担の実質的な軽減、地価税の廃止、固定資産税の軽減、長期土地譲渡益重課の撤廃、有価証券取引税の廃止など、緊急に改正すべき点を強く打ち出した。以下は提言の概要である。

  1. 税制改正に対する視点、望ましい税体系
  2. 個別の税目の議論をする前に、21世紀において、わが国経済社会が活力を維持していくために不可欠な経済構造改革の一環として、税制改革を位置づける。
    望ましい税体系を構築していく上での視点として、以下の点が重要。
    1. 所得・消費・資産課税のバランス
      個人ならびに法人の所得にかたよった税体系を改め、直間比率の是正を進める。
    2. 税制の国際的整合性
    3. 産業の国際競争力の維持

  3. 今後の財政運営のあり方
    1. 税制改正を行うにあたっては、行財政改革の断行が不可欠である。
    2. 行財政改革へ向けての政府の努力を前提に、必要な場合には、当面、赤字公債の発行を躊躇すべきでない。

  4. 法人課税の見直し
    1. 国際的にみて過重な法人税負担をこのまま放置すれば、産業の空洞化、雇用情勢の深刻化を招く。当面の経済活性化策としても、企業の実質的税負担の国際水準への引下げ(少なくとも、米国なみの約4割)が必要。
    2. 税制の国際的整合性の観点からも、連結納税制度の導入を急ぐべきである。

  5. 土地税制の見直し
    1. 企業収益を圧迫する土地保有税(地価税・固定資産税)の抜本的見直しが必要である。―地価税の廃止、固定資産税の負担水準の据え置き・抜本的改正(税率の引下げ、評価のあり方の見直し)
    2. 企業のリストラを阻害する長期保有土地譲渡益重課を廃止すべきである。

  6. 証券税制の見直し
  7. 有価証券取引税を撤廃すべきである。

  8. 所得税特別減税の継続
  9. 所得税・住民税の特別減税を継続すべきである。


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