第22回北陸地方経済懇談会/11月7日

活力と創造性あふれる経済社会の構築について懇談


北陸経済連合会と共催により、標記懇談会を金沢市において開催した。「活力と創造性あふれる経済社会をつくる」を基本テーマに、これからの経済社会づくりへの重要課題、新産業の育成と地域経済社会の自立化、21世紀に向けた国土づくり、社会資本整備と地域の活性化などについて、意見交換を行なった。
当日は、北陸側から谷北陸経済連合会会長ら地元経済人約130名が、経団連からは豊田会長、久米・鈴木・米倉・那須・青井の各副会長が出席した。

  1. 谷 北陸経済連合会会長 開会挨拶(北陸電力会長)
  2. 谷 北陸経連会長

    1. 景気失速は和らぎつつあるが、不良債権問題や、経済構造改革など、解決すべき重要課題が山積しており、先行きは予断を許さない状況にある。
    2. 活力ある経済社会の構築には、法人税の引下げなどの税制改革と同時に、規制緩和の推進が必要である。北経連としても、経団連と力を合わせて、政府に働きかけて行きたい。
    3. 北経連はかねてより「日本海国土軸」の形成を強く要求してきた。次期全総計画では、この要求をはじめ、北陸新幹線の建設、高速交通体系の整備など、社会資本整備の必要性を、政府に働きかける予定である。経団連にも支援をお願いしたい。
    4. 北経連では「北陸環日本海経済交流促進協議会」(北陸AJEC)を設立し、環日本海経済圏の形成に向けて活動を行なっている。今後は、東南アジアも視野に入れながら、基本的な交流を促進する予定である。

  3. 懇 談
    1. 北陸経済の現状と課題

      久保田 照雄氏
      北陸経済連合会副会長・北陸銀行会長

    2. 長引く不況の中、北陸地方の企業は懸命な経営努力を行っているが、企業間格差の増大、不況型倒産など、低迷が続いている。また同時に、個人消費も低迷しているため、景気は足踏み状態にある。
      経済活性化に向けた課題は、産業空洞化対策と規制緩和の推進である。空洞化に対応するには、技術革新や多角化が求められる。北陸三県では、リストラ支援法を利用した新分野への進出が活発であるが、産・官・学の協力体制や、大企業の技術協力が必要である。また、規制緩和については、グローバル化した産業分野での規制を、基本的に撤廃すべきである。一分野に限った規制緩和でなく、規制全般を抜本的に見直すことが必要である。

    3. 北陸における新産業の育成について

      江守 幹男氏
      北陸経済連合会常任理事・日華化学社長

    4. 北陸では数多くの中小企業が集積しており、地域の産業革新が重要な課題となっている。近年、各県ごとにベンチャー企業の育成策が講じられているが、今後より一層実効性を高めるため、通産省の「創造的経済発展基盤地域」整備事業の一環として、「北陸スーパーテクノゾーン」(仮称)の実現が望まれる。北経連でも誘致実現に向け、研究施設、情報施設等の社会資本の重点整備の必要性に関する調査・研究活動を進めており、経団連の支援を得たい。(23頁参照

    5. 日本海国土軸形成の必要性について

      黒川 誠一氏
      北陸経済連合会常任理事・セーレン相談役

    6. 北経連は、94年4月に「日本海国土軸の形成に向けて」と題する報告書において、日本海沿岸地域における新たな国土軸の形成を訴えた。現在は、新しい全総計画において日本海国土軸が明確に位置付けられるよう、「日本海国土軸と北陸地域のあり方〜次期全総への提言〜」をテーマに調査・研究を進めている。
      これまでの全総計画の理念は「均衡ある国土の形成」であったが、現実には日本海沿岸地域では社会資本の整備が遅れ、太平洋ベルト地帯中心の発展から取り残されてきた。今後は、地域の自立的な発展を可能とする基盤の整備を、日本海沿岸地域で重点的に実施すべきであり、日本海国土軸の実現に向け、経団連の支援を得たい。

    7. 北陸の社会資本整備の推進について

      宮 太郎氏
      北陸経済連合会副会長・大和会長

    8. 日本海沿岸地域は太平洋沿岸地域に比べ、高速交通網の整備が著しく遅れており、北陸地域のポテンシャルを十分に発揮させるために、これまで北陸新幹線や高規格幹線道路網の建設促進、地方空港の国際化等に取り組んできた。
      とりわけ、北陸新幹線の早期建設は長年の悲願である。しかし、長野以西は遅々として整備が進まず、小松以西の若狭ルートについてはルートも未確定で、着工の目処すら立っていない。
      地域間の連携を強化し、北陸が一体的な発展を遂げるためには、北陸新幹線の早期建設は不可欠であり、経団連の協力を是非お願いしたい。

    9. これからの環日本海経済交流への取り組み方

      越馬 平治氏
      北陸経済連合会常任理事・津田駒工業社長

    10. 92年5月、北経連が中心となり「北陸環日本海経済交流促進協議会(北陸AJEC)」を設立し、日本海対岸諸国における情報拠点の整備や市場経済化を担う人材の育成等に取り組んできた。
      また、ロシアの会計制度の国際化を促進する観点から、経団連の「日本ロシア経済委員会」の協力を得て、日ロ間の会計制度の違いに関する合同研究会を開催するとともに、外務省の委託によりロシアの日本センターに簿記会計講座を設置する等の活動を展開してきた。
      明年4月には、経団連・中国委員会が中国に経済ミッションを派遣するとのことであるが、中国政府の動向等について情報提供をお願いしたい。


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