資本対策委員会(委員長 片田 哲也氏)

資本市場の活性化に向けた経団連の取組み


証券市場は、一時の危機的な状況を脱したものの、依然として先行きは不透明な状況にある。経団連・資本対策委員会では、証券市場の活性化が、わが国経済の活力を取り戻す上で、必要不可欠な課題であると認識し、一貫して証券市場の活性化を訴えてきた。
以下は、証券市場の活性化を中心とした資本市場を巡る問題に関する資本対策委員会の最近の取組み状況の概要である。

  1. 資本市場を巡る最近の諸問題への対応
  2. 資本対策委員会では、9月27日に日高証券局長ほか大蔵省証券局幹部を招き、証券市場を巡る諸問題について懇談した。席上、日高証券局長からは、
    1. 株式市場の現状、
    2. 自己株式の利益消却に係るみなし配当課税の凍結等証券税制の見直し、
    3. ベンチャー企業の育成に向けたフロンティア市場の創設、
    4. 株式ミニ投資の創設等個人投資家の参加しやすい環境整備、
    5. 社債の流通市場の整備、
    6. 時価発行増資に係わる規制の見直し等証券分野に関する規制緩和、
    等について説明があった。

    また、経団連側からは、

    1. 税制の国際的整合性ならびに証券市場にインパクトを与える観点から有価証券取引税を廃止する必要がある、
    2. グローバルスタンダードに基づく市場の効率化を実現するためにも、時価発行増資に係わる規制を早期に撤廃すべきである、
    等を要望した。

  3. 証券税制の見直しへの対応
  4. 資本対策委員会では、証券市場の活性化を図り、また市場の国際化に対応するためには、証券税制の見直しは不可欠であるとの観点から、有価証券取引税の撤廃等証券税制の抜本的見直しを働きかけている。その一環として、かねてより自己株式の取得に伴うみなし配当課税の撤廃を要望してきたが、今臨時国会においてみなし配当課税を99年3月末まで適用しないとする「租税特別措置法の一部を改正する法律案」が提出され、11月10日に成立した。

  5. 規制緩和への取組み
  6. 資本対策委員会では、10月2日に資本市場部会を開催し、先に委員を対象に実施したアンケート結果をもとにユーザーの観点から証券分野等に関する規制緩和要望を取りまとめた。具体的には、
    1. 時価発行増資に係る規制の撤廃、
    2. エクイティファイナンスに関する利益配分ルールの撤廃、
    等について、引き続き要望するとともに、
    1. 自己株式の取得・保有規制の緩和、
    2. CPに関する一層の規制緩和
    等の実現を強く求めている。これらの要望は、経団連見解「規制緩和推進計画の改定に望む」において各論として盛り込まれ、政府、与党等関係各方面に提出された。

    さらに社債等登録制度の見直し等、社債の流通市場の整備については、振替決済制度部会において検討を進めていくこととしている。


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