第33回四国地方経済懇談会/1月24日

21世紀ビジョン、四国地域の重要課題等をめぐって懇談


四国経済連合会と共催により、標記経済懇談会を高松市において開催した。当日は、四国側から山本四国経済連合会会長ら地元経済人約160名が、経団連からは豊田会長、久米・鈴木・米倉・関本・末松・青井・樋口の各副会長が出席し、「21世紀へ向けての魅力ある日本の創造」を基本テーマに、活発な意見交換を行なった。

  1. 開会挨拶
  2. 山本 博氏(四国経済連合会会長/四国電力会長)

    山本四経連会長

    四国経済は厳しい状況が続いており、四経連が昨年12月に実施した調査では景気は「下降」ないし「底ばい」と回答した企業が全体の85%を占めている。これ以上の長い不況は、本格的な雇用調整など、地域経済に一段の犠牲を強いるおそれがあり、一刻も早い景気回復が望まれる。
    このような現在の低迷を脱し、新たな成長を遂げるためには、地方分権、規制緩和や21世紀を展望した全国総合開発計画(全総計画)の策定など、経済構造改革に向けた取組みが不可欠である。

  3. 懇 談
    1. 四経連活動の基本目標と行動理念
      赤澤庄三氏(四国経済連合会副会長/帝國製薬社長)
    2. 四経連では、21世紀に向けての四国のあるべき姿を明らかにした基本活動指針「21世紀新四国創造への期待」を策定した。この中で、
      1. 人、物、情報など、各方面で海外との相互交流を一層深めること、
      2. 本四3橋や高速道路網整備を踏まえ、中国、関西、九州などと地域を超えた交流を進めること、
      3. 四国の産業構造転換をはかり、競争力ある企業を育成していくこと、
      などを提言している。

    3. 規制緩和と地方分権の推進
      多田野康雄氏(四国経済連合会副会長/タダノ会長)
    4. 調和のとれた豊かな国づくりのためには規制緩和や地方分権の推進が不可欠である。地方分権では、昨年5月の地方分権推進法の成立を受け、現在、機関委任事務の地方への移管が検討されているが、我々もその動向に重大な関心を持っている。
      また最近、首都機能移転議論が盛んになっているが、首都機能移転は地方分権や規制緩和と一体で進めるべきである。

    5. 四国経済の現状と課題
      松本恭輔氏(四国経済連合会副会長/百十四銀行会長)
    6. 四国経済は厳しい状況が続いており、景気回復への確かな手掛かりが期待される。また、企業家精神の発揮により独創的な商品・サービスを提供する企業を育成することが望まれる。そのため、理工系高等教育機関の充実等にも取り組んでいるが、併せて立ち遅れている社会資本整備を進めることが望まれる。

    7. 新産業の開拓
      入交太二郎氏(四国経済連合会副会長/入交産業会長)
    8. 新産業開拓のために、情報通信関連産業の育成や、各産業の情報化促進が重要である。例えば香川インテリジェントパークは、新産業創造のインキュベーターとしての役割が期待されている。
      創造性豊かな人材の育成も不可欠であり、経団連も「2020年ビジョン」に沿って、教育制度の見直しや人材育成に積極的に取り組んでもらいたい。

  4. 豊かで安全な国土の形成と地域経済の活性化
    1. 太平洋新国土軸と地域連携軸の形成
      伊東弘敦氏(四国経済連合会副会長/四国旅客鉄道社長)
    2. 四経連では95年8月、「新しい全国総合開発計画への提言」を公表し、
      1. 国土全体のポテンシャルの引き上げ、
      2. 災害時のセキュリティ確保、
      3. 交流と連携による地域づくり、
      4. 新しいライフスタイルに適合した国土の形成、
      といった観点から太平洋新国土軸と地域連携軸の形成を強く求めた。これらを「歴史・文化道」として整備し、安らぎのある交流圏を構築することにしており、実現に向け経団連の支援を得たい。

    3. 社会基盤の充実・整備
      立田敬二氏(四国経済連合会副会長/立田回漕店会長)
    4. 四国では、これまでの多極分散型国土形成のための施策が十分成果をあげていない。本四3橋の架橋効果を活かすためにも、公共投資の重点配分により整備水準を引き上げる必要がある。
      地域づくりの新しい視点として
      1. 世界の中の四国の実現、
      2. 高次都市機能の育成、
      3. 地域・都市間の連携強化、
      4. 自立と個性、歴史・文化の尊重、
      に配慮すべきである。

    5. 交通・情報インフラの整備促進
      松山紀由氏(四国経済連合会副会長/住友化学工業取締役)
    6. 四国では高規格幹線道路の供用率が32%と全国平均49%に比べてかなり低い。98年に予定されている本四3橋完成時に、その効果を十分に活かすためにも四国内の横断・縦貫道路の早期完成が望まれるが、そのためにも全国プール制は堅持すべきである。
      さらに四国地域の情報化推進に向け、行政が主体的に情報化施策を講じる必要があり、経団連にも配慮をお願いしたい。

    7. フロア発言
      牟禮 米一氏(牟禮印刷会長)
    8. 近年の政府の財政肥大化は看過すべきでない。香川県出身の大平元首相が提唱していた「小さな政府」の実現のため、経団連の積極的な取り組みが求められる。


日本語のホームページへ