第113回関西会員懇談会/1月25日

「魅力ある日本の創造」をテーマに関西会員と懇談


大阪市において標記懇談会を開催し、「21世紀へ向けての魅力ある日本の創造」を基本テーマに、21世紀ビジョン、関西経済の重要課題等をめぐって意見交換した。
当日は、豊田会長、久米・鈴木・米倉・関本・末松・伊藤・樋口・今井の各副会長のほか、川上住友電気工業会長(関西経済連合会会長)、三野クボタ会長(大阪工業会会長)、大西大阪ガス会長(大阪商工会議所会頭)、牧神戸製鋼所相談役(神戸商工会議所会頭)をはじめとする関西会員の約250名が出席した。

  1. 21世紀ビジョンについて
    1. 21世紀の日本経済の展望
      川上 哲郎氏(住友電気工業会長/関西経済連合会会長)
    2. 21世紀を目前に控え、これからの数年間はわが国の将来を方向づける重要な時期となる。日本経済の再活性化のためには、以下の3点で改革を進める必要がある。
      第1に、規制緩和や経済構造改革の推進である。阪神・淡路大震災の復興過程においても日本の経済社会の抱える構造的な諸問題がはっきりした。戦後体制を支えてきた法規制、行政機構など枠組みそのものを改革していかないと、京阪神地域の復興、ひいては日本経済全体の発展もあり得ない。
      第2に、数年来のゼロ成長から脱し経済成長を実現するため、技術革新を通じた新産業、新事業の育成に努めることである。そのためには産・官・学の協力体制を整備し、新技術を新事業につなぐような仕組みを整える必要がある。
      第3に、21世紀に向けた豊かな生活空間を創造することである。各地域が個性を発揮しつつ発展できるような、新しい全総計画の策定が望まれる。

    3. 創造力あるモノづくり・ヒトづくり
      三野 重和氏(クボタ会長/大阪工業会会長)
    4. 日本経済は、円高是正と大型財政出動により、昨年後半から明るい兆しが見えてはきたものの、根本的に回復軌道に乗ったとは言い難い。わが国経済の健全性を確保するためには、高付加価値産業の創出を可能とする科学技術立国を目指す以外にはない。
      そのために、第1には、わが国の高コスト体質の原因となっている法人税や公共料金などの抜本的見直しを通じて、付加価値を創出できる産業を国内に残すことである。
      第2には、高付加価値商品を生み出すための新技術を創造することである。そのために、政府による科学技術振興予算の増額や創造力に富む科学技術系の人材育成などに努め、官・民一体で、わが国独自の基礎技術水準を高めていかなくてはならない。

    5. フロア発言
      山野 大 氏(三洋電機副会長)
    6. 国際的メガコンペティションの時代を迎え、わが国では産業空洞化が懸念されている。空洞化に対応するには、科学技術立国を目指すことが肝要であり、昨年11月に科学技術基本法が成立し、科学技術政府予算が大幅に拡充されたことは大変心強い。また新産業の創出も不可欠であり、産官学が協力して研究開発の推進、ベンチャー・キャピタルの整備・充実等を図っていくことが必要である。ベンチャーを成功させるためには、資金やインフラ整備も重要だが、最も重要なのは、創造性がありチャレンジの精神を持った企業家を育てることであろう。

  2. 関西経済の課題と経団連への期待
    1. 関西経済活性化への取り組み ―『都市格』向上を目指して―
      大西 正文氏(大阪ガス会長/大阪商工会議所会頭)
    2. 関西では、「自らまず努力し、事実を先行させる」との考え方に立ち、率先して諸課題の解決に取り組んでいる。
      まず第1は、新しい産業・企業の創出である。例えば大商では、94年に「新規開業支援センター」を設置し、95年10月には「アジア太平洋ベンチャー95」を開催した。
      第2は、「都市格」向上のための取り組みであり、APEC大阪会議の成功が明るい材料となった。
      第3はアジア・太平洋地域との共存共栄であり、ビジネス交流をはじめ同地域におけるセンター的機能の充実を図っている。
      このような取り組みを進める上で関西国際空港の全体構想の実現は不可欠であり、経団連の支援を得たい。

    3. 阪神大震災復興計画について
      牧 冬彦氏(神戸製鋼所相談役/神戸商工会議所会頭)
    4. 震災から1年が経過したが、復旧に当たっての経団連の支援に感謝している。
      地元では、復興のための起爆剤として、インフラ整備や税の減免、規制緩和等を地域・期間限定のインセンティブ措置として実施する「エンタープライズゾーン」の実現を訴えていたが、政府と地元の認識に温度差があり、その見込みが立っていない。そこで、既存の枠組みの中で実施可能な支援措置について検討しているところである。経団連にも同プロジェクトへの理解と支援を得たい。


日本語のホームページへ