北米、ヨーロッパ、アジアの三極の間では、北米とヨーロッパの関係は古く、G7サミットやNATO等数多くのチャネルを通じて絶え間のない交流が行われてきた。北米とアジアにはAPECがある。残るはアジアとヨーロッパであり、アジアの経済発展に伴い、ヨーロッパ諸国からアジアへの投資が増え、経済関係は緊密化しているが、アジア・ヨーロッパ間にはAPECのような交流の場がないことが問題にされてきた。
昨年2月豊田会長を団長とするトップ・レベルのミッションがASEAN諸国を訪問した。シンガポールでゴー・チョクトン首相に面会した際、首相からアジア・ヨーロッパ・サミット開催の考えを打ち明けられた。「アジアとヨーロッパの間には首脳同志がフランクに話し合える場がない。両地域の首脳が意見交換を行うサミットを発足させるべきだと思う。EUには既に話したが、日本政府にはこれから呼びかける。是非実現させたい。」
それからわずか1年余で首脳会議が実現したのは、まさに両方のニーズが一致したためであろう。
このASEMの意義として、アジアがヨーロッパと対等の立場に立ったことが指摘される。ASEAN7カ国のうち6カ国が植民地支配を経験しており、若干のこだわりがあったと思われるが、旧宗主国と対等な立場での会議が初めて行なわれた意義は大きい。
これはまさにアジアの復権を示すものであり、話し合うテーマも単に二地域間の経済関係だけでなく、政治・安保問題、さらに広く冷戦後の国際的枠組み作りに貢献することも含まれている。
それを具体化する中で、日本の役割を軽視してはならない。GDPの規模を比較するとEUは7.6兆ドル、北米7.3兆ドル、アジアは5.8兆ドルである。しかもアジアのGDPのうち74%を日本が占め、その他アジアは26%、1.5兆ドルに過ぎない。急成長を遂げ、力をつけてきているとは言え、未だ日本以外のアジア諸国の経済規模は小さい。
今回の会議でも、「橋本首相は来るのか、来なければ参加しない」とのヨーロッパ首脳筋からの問い合わせが数多く寄せられたと言う。日本としてもこうした期待に積極的に応えていく必要がある。
今後のフォローアップ案件として、