経団連提言/3月26日

連結納税制度の早期導入を求める


経団連では、3月19日に税制委員会(委員長:久米豊氏)を開催し、「連結納税制度導入に関する提言」を取りまとめた。
分社化経営の進展といった企業経営の新たなトレンドを踏まえ、また、税制の国際的な整合性を図る観点から、連結納税制度の導入が強く求められている。経団連ではかねてから連結納税制度の導入を要望してきたが、連結納税制度のニーズの高まりを受け、導入にあたって考えられる具体的な仕組みを経団連として取りまとめ、早期の導入を提言した。

  1. 導入にあたっての基本的考え方
    1. 分社化を選ぶか、社内部門での経営を選ぶかといった選択に対し、本来、税制は中立であるべきであり、事業形態によって税制上の不利益が生ずることがあってはならない。親子会社の経済的一体性を重視した税制として、連結納税制度を早急に導入すべきである。純粋持株会社が解禁されれば、新たな企業経営形態の選択が可能となるが、この制度を有効に利用するためにも連結納税制度の導入が前提となる。
      先進諸外国においては、子会社所得を親会社所得に合算して、親会社が連結税額を納税する連結納税制度が一般的であり、税制の国際的な整合性をはかる観点からも導入を急ぐべきである。

    2. 連結納税制度は、基本的に個々の会社の決算、個別レベルの法人所得の計算を基礎としていくものである。確定決算主義に影響を及ぼすものではなく、連結財務諸表と直接関係するものではない。経済的に一体である親子会社の公正な法人税負担を行なっていくための制度であり、大企業のみが優遇されるものではない。

    3. 制度導入に当たっては、連結対象会社の範囲を実質的に100%所有の子会社に限定して良いと考える。これによって少数株主の権利保護等の問題も解決できる。
      その他、可能な限り簡素な形態とし、早期の導入を実現すべきと考える。

  2. 基本的仕組みについて(概要)
    1. 対象は当面、経済的一体性が明白な実質100%所有の国内子会社のみとする。子会社の選択は任意とするが、一旦選択した子会社は、原則として継続して対象とする。

    2. 制度適用は任意とするが、一旦、連結納税制度を適用した場合は、継続適用(5年程度)を原則とする。

    3. 会計年度は統一する。会計基準については、個別会社の基準の継続を認める。

    4. 連結会社間の取引から生じる未実現利益の消去は、土地・有価証券等に限定する。

    5. 租税回避行為を防ぐため、制度適用前の繰越欠損は個別ベースでのみ使用が可能とする。

    6. 法人税を基準として計算される地方税も連結ベースで計算する。

    7. 親会社が代理人として納税し、契約に基づき親子会社間で納税債務を配分する。


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