なびげーたー

消費者・生活者が求める多選択肢社会

広報部長 上田 惇生


消費者・生活者をとりまく規制や慣行を見直すことにより、多選択肢社会を実現したい。

経団連の消費者・生活者委員会では、1991年の発足以来、「消費者・生活者」の観点にたって企業活動のあり方について検討し提言してきた。他方、経団連は一貫して、活力ある経済社会づくりの大きな柱として規制緩和を取り上げ、関係各委員会が総力をあげてその推進に努めている。

そこで昨年秋、当委員会では、規制緩和に関するアンケート調査を実施し、消費者・生活者1,500人の意見を聞いた。その結果、規制緩和が身近で関心の高い問題になっていること、経済を活性化するものとして前向きに捉えられていることを確認した。

当委員会では、この調査をもとに、政府の行政改革委員会での検討に対応して、消費者・生活者の立場から、具体的な案件を含め、公的規制改善のための提言を行なった。

しかし、消費者・生活者にとっては、生活を取り巻くさまざまな制約要因は、公的規制のほか、民間慣行、技術的制約、文化・習慣など多岐におよぶ。

そこでこの春、公的規制や民間慣行の現状とその改善策について、消費者・生活者約1200人を対象に再びアンケート調査を行なった。併せて、消費者・生活者からみた望ましい商品・サービスを尋ねた。

最も要望が強かったものが、銀行の手数料・営業時間の多様化、次いで外国化粧品の輸入販売認可だった。タクシー料金への競争原理の導入、女性社員の残業時間規制の緩和、国による保育園の認可要件の規制緩和などが続いた(『経団連くりっぷ』No.30参照)。

新サービスとしては、郵便サービスの多様化や各種交通機関共用のプリペイドカード、24時間稼働の銀行サービスがあげられていた。

インターネットを通じて在日外国人から得た回答では、タクシーのサービス多様化、敷金・礼金なしの賃貸住宅、24時間利用できる現金自動預払機(ATM)、郵便局の業務時間延長などの要望が目立った。

そこで当委員会では、消費者を取りまくさまざまな規制や慣行を見直すことにより、消費者がより多くの選択肢を持つことを可能とするための課題と方策について、これらのアンケート調査、ヒヤリング、企業関係者との討議を通じてまとめることとし、企画部会において作業に入った。

現在、企画部会では、多選択肢社会を実現するにあたっての論点として、サービスと公共性、自己責任と行政の関与、消費者ニーズとわがまま、個人の自由と総体の調和、競争原理と教育・福祉・文化の聖域性、競争原理と横並び、都市の負担と地方の振興、サービスの多様性と専門性、国際化と国内事情などについて検討中である。


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