経団連提言/4月16日

合併法制の緊急改正を求める


経団連では、4月15日に経済法規委員会(委員長:安西邦夫氏)を開催し、法制審議会における合併法制改正の検討状況について、法務省の菊池民事局参事官から聴取するとともに、その説明もふまえ、「合併法制の改正に関する意見」を取りまとめた(4月16日の理事会で正式決定)。意見では、合併手続簡素化のための合併法制の緊急改正を訴えるとともに、実務の観点からみて、できるだけ利用しやすい合併手続とするよう強く求めた。
以下は「合併法制の改正に関する意見」の要旨である。

現下の厳しい経済情勢を克服し、経済構造改革を進め、企業経営の効率化を図る上で、合併・分割は重要な方法であり、これを機動的に行えるよう法改正を早急に進める必要がある。そこで、まず、ほぼ審議を終えている合併法制について緊急に改正を行うこととし、分割法制の整備についても引き続き早期に実現すべきである。
法制審議会商法部会において現在検討されている、(1)報告総会の廃止、(2)債権者保護手続の簡素化、(3)簡易合併制度の導入といった、合併手続の簡素化については経済界として高く評価しているが、さらに以下の点についても実務界の意見を十分踏まえて改正を行うべきである。

  1. 報告総会の廃止に伴う合併事項の報告
  2. 合併に関する事項を記載した書面を本店に備え置くこととすべきである。株主に通知することは、実務上、通知先の株主をどのように確定するのかという問題があるのに加え、多額の費用がかかる。

  3. 債権者保護手続の簡素化
  4. 債権者への公告は官報で行なうものとし、日刊新聞紙でも公告を行なった場合には個別の催告を省略することができるという方向が望ましい。また、合併手続の円滑化の観点から、債権者保護手続の終了を待たず、合併登記を行なうことができること(事後手続)とすべきである。

  5. 簡易合併手続
  6. 存続会社株主へ大きな影響を及ぼさない合併については手続を簡便なものとするという本制度の趣旨からいって、存続会社株主への通知、存続会社株主の株式買取請求権は不要とすべきである。また、100%子会社同士の合併についても、簡易合併制度の対象とすべきである。

  7. 合併による計算の承継
  8. 合併期日に事実上制約を設けることのないよう、遡及期間を合併期日前1年とすべきである。

  9. 債務超過会社の吸収合併
  10. 企業グループの経営の円滑化の観点から、債務超過会社が100%子会社である場合については、親会社あるいは他の100%子会社による吸収合併を認めるべきである。

  11. 存続会社の有する消滅会社の株式への新株の割当
  12. 存続会社の有する消滅会社の株式への合併新株の割当を認めるべきである。


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