経済6団体主催ニュージーランド・ボルジャー首相歓迎昼食会/5月10日

アジア太平洋地域の経済成長には日本経済の回復が不可欠


経団連は、日本商工会議所、日本経営者団体連盟、経済同友会、日本貿易会、日本ニュージーランド経済委員会とともに、ニュージーランドのジム・ボルジャー首相歓迎昼食会を開催した。席上、ボルジャー首相は、経団連の「2020年へのビジョン」に言及しつつ、日本経済の回復がアジア太平洋地域の経済成長に不可欠であると述べ、経済界の努力に大きな期待感を示した。以下がボルジャー首相の演説の概要である。

  1. ニュージーランドの経済改革
    1. ニュージーランドでは、80年代初旬まで、運輸・電気通信・エネルギー部門が全て国有企業の支配下にあった。また、金融・保険・ホテル・林業についても、国有企業と民間企業が競合し、多くの業種に高い参入障壁を設けていた。

    2. この50年に渡る国有化政策によって経済の活力が失われた。94年までに財政赤字はGDPの約9%に達し、二桁のインフレ率、ゼロに近い経済成長、失業率の上昇などの弊害が目立つようになった。

    3. そこで、1980年代半ば以降、規制改革と市場自由化を強力に推し進め、経済の活性化と競争力向上に成功した。

    4. われわれは教訓として、(1)保護政策の弊害、(2)迅速な改革の重要性、(3)一貫性があり包括的な政策の必要性、(4)政治的決断のインパクトを学んだ。日本がニュージーランドの経験から何らかのヒントを得ることを期待している。

  2. 日本の経済改革
    1. 日本経済は世界的に重要であり、アジア太平洋地域の成長の推進力となっている。日本のコスト構造や規制制度の再考を促したい。

    2. 経団連は「経団連ビジョン2020」の中で、規制の見直し、市場原則に支えられた金融制度、効率的な小さい政府等を求めている。われわれは同ビジョンを高く評価している。

    3. 運輸・電気通信・金融・農業など、規制の残された部門は多い。特にわれわれは、農業分野の高関税率に対して懸念を持っている。

  3. アジア太平洋地域の繁栄
    1. APECはアジア太平洋地域内外の経済交流の拡大と繁栄に寄与する。APECの促進は両国の利益となる。

    2. 昨年のAPEC大阪会議における日本のリーダーシップを高く評価している。7月のAPEC貿易担当大臣会議は、12月のWTO閣僚会議へのステップでもある。

    3. APECとともにWTOも重要であり、その成功には経済界の協力が不可欠である。


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