北大西洋議員評議会経済委員会訪日団一行との懇談会/6月14日

日本経済の現状と「魅力ある日本の創造」に向けて懇談


貿易投資委員会では、NATO諸国の国会議員により構成される北大西洋議員評議会(以下NAA)経済委員会の訪日団一行と、日本経済の現状等について懇談した(司会 北岡副会長)。
一行は経団連が発表した「魅力ある日本の創造」の内容に関心を示し、これに関する質問が相次いだ。以下は、その一問一答である。

NAA側:
経団連は「公正かつ自由な競争を展開する」とうたっているが、財閥の存在や「系列」についてはどう考えるか。
経団連側:
戦後、財閥は解体され、傘下の企業は完全に独立した企業として存在することになった。三井、三菱あるいは住友などの名前が残っているため誤解を与えるかもしれないが、それぞれの企業は、資本も経営陣もマネジメントのやり方も全く異なっており、独立した企業体となっている。

NAA側:
持株の問題についてはどうか。
経団連側:
系列外の企業や、いわゆる機関投資家が株式を保有しているというケースはよくあることである。それに、持株会社は現在、日本では禁止されている。

NAA側:
明治以来の日本の経済・社会システムが今ではもはや障害になっているとのことだが、どういった面が障害になっているのか。
経団連側:
これまでの経済・社会システムは、「欧米に追いつけ追い越せ」という明確な目標に向けて突き進む際には有効に機能した。だがその目標を達した現在、われわれはそのシステムに閉塞感を覚えている。産業の空洞化による雇用不安等もあり、その思いは余計に大きくなっている。こうした不安を取り除くのが経団連の仕事であり、そのためにこの長期ビジョン「魅力ある日本の創造」を策定した。

NAA側:
ビジョンの参考資料にある『国の一般会計収支に関する機械的計算』を見ると、今後消費税率の引き上げが必要と読み取れる。消費財の価格がもともと高い日本で消費税率を引き上げれば、ますます物価は高騰するのではないか。
経団連側:
ヨーロッパ諸国は付加価値税の税率が高く、直間税率が均衡しているが、日本では直接税の占める比率が高い点が問題である。また、日本の物価は確かに高いが、それは規制の撤廃・緩和や輸入・競争の促進によってある程度是正できる。

NAA側:
経団連として、エネルギーや資源に対するアクセス、その輸入に関する長期的な戦略を持っているか。
経団連側:
確かに、日本は原油のほとんどを輸入に頼っている。そこで、(1)原子力エネルギーへの依存度を高める、(2)省エネルギー、(3)エネルギー大量消費型の産業構造からの脱却を図っている。(3)に関して経団連では新産業・新事業の育成に力を入れている。


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