経団連くりっぷ No.36 (1996年 7月11日)

広報委員会(委員長 関本忠弘氏)/6月17日

広報戦略の必要性を確認


経団連では去る1月に長期ビジョン「魅力ある日本の創造」を発表し、21世紀に向けて日本を活力に溢れた魅力ある国とするための首都機能の移転、規制緩和、行財政改革などの政策課題を掲げている。そこで広報委員会を開催しこれらの課題についての広報活動の進め方について意見交換を行なった。当日は、久米豊税制委員長、および河野俊二首都機能移転推進委員長より、税制改正および首都機能移転に関するこれまでの経団連の取り組みと広報課題について説明を受けた後、自由に懇談した。

  1. 関本広報委員長発言要旨
  2. 関本委員長

    経団連の重要政策課題を実現するためには国民の幅広い理解と支持が不可欠である。ひるがえってこれまでの経団連の広報活動を考えると、会長・副会長の記者会見や取材協力、機関誌の発行、経済広報センターの活動などを積極的に進めてきたものの、広報対象が多すぎて経団連としての焦点が絞れず、ややもすると継続性に欠けた点が指摘される。この点を踏まえて経団連としての広報課題の優先順位と広報手段を戦略的に検討する必要がある。具体的には企画部会を再編し、そこで検討を進めたい。

  3. 自由懇談
    1. 政治家の間には、規制緩和は票に結びつかないという考えがある。規制緩和を進めるには広く広報を行ない、一般選挙民が規制緩和を支持する政治家に投票するようにしなくてはならない。
      そのためには、現在、官庁別、業界別に言わば縦割りで行なわれている規制緩和の広報を改め、一般の消費者に関心の高い、安全面や日常面での影響を取り上げ、規制緩和の全体像を伝える工夫が必要だろう。

    2. 首都機能移転の広報に関しては、具体的に移転先が決定した後でいかに地域的利害を乗り越え、経団連として広報を進めるかが課題となる。

    3. 自分たちがニュースと思うものではなく、マスコミが取り上げるものがニュースとなる。経団連の活動がニュースになるかどうかは、経団連の活動次第であり、長期ビジョンをどう実行していくかにかかっている。今後はテレビの影響力がますます大きくなるので、テレビ向けの広報のあり方を検討すべきだろう。

    4. 広報は人に感動を与えなくてはならないが、特定の立場に固執していては人に感動を与えられない。時には経団連の立場を否定するところから議論を始め、改めて経団連の主張を見直すことも一つの方法であろう。


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