- 提言の視点
新しい全国総合開発計画(全総計画)は、「官から民へ」「国から地方へ」という基本理念の下で、
- 東京一極集中の是正と地域の多様性を前提とした国土の均衡ある発展を図ること、
- 大競争時代の到来を踏まえ、交通インフラ等の高コスト構造の是正を図り、内外に開かれた活力のある地域づくりを推進すること、
の2点を目標に掲げる。
⇒地域は魅力ある地域づくりを、国は縦割りを排した大胆な構想の立案を。
⇒東京一極集中是正と、国土の均衡ある発展の大きな契機となる首都機能移転を前提とした計画の立案を。
- 新しい全総計画に求められる役割
- 国の地域関連施策展開の指針となる権威ある計画
- 地域の個性・主体性を認める柔軟性に富んだ計画
- 右肩上がりの経済成長を前提とせず、着実にプロジェクトを推進する計画
- アジア太平洋諸国の発展を視野に入れた計画
- 国土づくり・地域づくりにおける官民の役割
- 前提
大競争時代の到来=企業は自らの活動拠点として最適な地点を、内外の地域・都市の中から厳しく比較、選定する時代
国土づくりの主役=地域
- 地域の役割
地域は、自らの資源(財源、権限、人材等)を活用しながら、自主的な判断と責任のもとで自律的な圏域づくりを進める。ブロック内、地域間の調整を国任せにせず、地域自らが、優先すべきインフラの選択と推進を行なう。
- 国の役割
国は、多重性に富んだ国土・地域構造づくりに努め、全国一律を基本とした地域政策を見直し、多様な可能性を容認する懐の深い地域政策に再構築する。公共投資にあたっては、基礎的インフラのみならず、新しい国土軸の結節点や広域的な地域連携のボトルネックを解消するインフラ等に注力する。
- 企業の役割
企業は、国や自治体と協力しながら、ハード面のみならずソフト面でも、積極的に地域産業拠点づくりに取り組む。
- 国土づくり・地域づくりの基本目標
各地域・都市は、全ての都市機能を備えた「オールインワン型・フルセット型」の地域・都市づくりから脱却し、ネットワークを活用した「相互補完型」の地域・都市づくりを目指す。
⇒ネットワークを活用した産業立地の推進のために、地域内のインフラ(交通・情報通信等)を充実させるとともに、経営資源を共有し、産業構造の高度化に対応した企業群が内発的に生まれ育つ環境を整備していくことが必要。
- 新しい国土軸(北東,日本海,太平洋新国土軸等)のあり方
- 地域間の広域的な交流・協力を実質的に加速させる戦略
- わが国国土の多重性を高める戦略
- 地域の多様性と国土構造の均衡を実現する戦略
- 地域が創意工夫したプロジェクトを推進する際に、国が政策的に支援する裏付け
- 地域連携軸のあり方
- 地域の相互交流・協力の基本戦略
- 太平洋側と日本海側との相互交流推進等、全国的な多軸循環型ネットワークの形成
- 地域が必要とするインフラ
地域間ネットワーク形成に不可欠な交通・情報通信インフラ、広域的なネットワークを円滑に形成するための国際空港・国際港湾等、地域型起業を促進するインキュベーター、都市機能充実に資する生活関連インフラ、国際的な交流・協力プロジェクト、大型研究開発プロジェクトなどの基地となる大規模工業団地の整備
⇒地域は、優先順位を明確にする。国は、一般公共事業費配分の抜本見直し、インフラ整備手法の合理化に取り組む。また、広域連合制度の活用など、広域的な地域の協力によりインフラを整備。
⇒国はごく少数の地域やプロジェクト等をモデルとして指定し、そこで戦略的な地域施策を試行的に実施(エンタープライズゾーン,各種モデル都市・地域整備)。
- 新しい産業立地のあり方
諸規制の緩和・撤廃や地方分権、地方税財政制度の見直しなど、地域づくりの環境整備を行なう。
⇒地域における研究開発機能の強化や創造的な人材の育成・活用、情報技術の利用の推進等。