経団連くりっぷ No.43 (1996年11月14日)

なびげーたー

NPO・企業・行政の連携強化をめざして

社会本部副本部長 安斎洋一


多様化する内外の諸問題を解決していく上で、NPO(民間非営利組織)の果たす役割が大きくなってきている。

日本NPOセンター設立への動き

  1. 経団連は、本年1月に発表した経済社会の長期ビジョン「魅力ある日本の創造」の中で、「真に豊かで活力ある市民社会」を構築していくことの必要性を打ち出した。その中心的な役割を果たしていくのが多様な活動を行なう市民活動団体である。欧米をはじめ、アジア諸国においてもNPOが社会の中で重要な役割を担うようになってきている。

  2. わが国では、NPOの多くが法人格を取得できずに、社会的な認知を得にくい任意団体の立場に置かれてきた。今後市民活動を活性化し、NPOを政府、企業と並ぶ大きな柱にしていくには、行政庁の裁量の余地を出来るだけ排除した簡単な手続きで法人格が得られるようにすべきである。現在、議員立法によるNPO法案作りの動きがあるが、NPOの立場を十分踏まえた形で国会での議論が早急に始まることを望む。

  3. 一方、かねてよりNPO全体の基盤強化の必要性を強く感じているNPO関係者が中心となって、「日本NPOセンター」の設立に向けての準備が進められており、経団連も側面からこれを支援している。同センターは、NPOの基盤強化とともに、企業や行政とのパートナーシップの拠点となるような組織をめざしている。なおここで言うNPOとは、医療・福祉、環境・エコロジー、文化・芸術、地域・まちづくり、国際協力・交流、人権・平和、教育・学習、スポーツ、あるいは今後新たに発生すると思われるあらゆる分野の市民活動団体等の非営利組織を指し、民間の立場で活動するものであれば、法人格の有無や種類は問わないことになっている。

  4. 「日本NPOセンター」は、さまざまな分野のNPOの活動、企業の社会貢献活動、自治体等行政のNPO関連活動を対象として、次のような機能を果たすことをめざしている。
    1. 情報を収集したり自主的に登録してもらって、それらを公開・発信する。
    2. 活動の展開に必要なコンサルテーション(相談・助言)やコーディネーション(関係組織の紹介・調整)を行なう。
    3. 関係者や関連組織等との情報交流を密にし、相互の連携を深め協力を促進する。
    4. 分野やセクターや地域を越えた交流や研修のためのフォーラム等を開催する。
    5. 外部の専門家や大学・研究機関等とも協力してNPOの基盤強化に必要な調査研究を行ない、問題提起や政策提言を行なう。

  5. 「日本NPOセンター」の設立発起人会が11月22日に予定されているが、新しい市民社会実現に向けての一つの挑戦であるこのセンターづくりに対する会員企業の皆様方のご理解とご支援をお願いする次第である。


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