経団連くりっぷ No.43 (1996年11月14日)

経団連意見/10月28日

規制緩和推進計画の改定に向けて、18分野 886項目の規制緩和を要望


現行の政府の規制緩和推進計画は、毎年3月に改定されるが、来年3月の改定が最終となる。そこで経団連では、来年3月の改定において計画の大幅な拡充を図るべく、規制緩和要望を取りまとめることとし、本年7月、全会員企業・団体を対象に、規制緩和に関するアンケート調査を実施し、この結果に基づき関係委員会・部会で分野毎に検討を行なってきた。
10月28日開催の行政改革推進委員会(委員長:今井 敬氏)では、柳澤伯夫自由民主党行政改革推進本部事務局長から、総選挙で提示された公約の考え方と、実現に向けた見通しについて説明を聞いた後、各分野の規制緩和要望を一括して審議し、『規制の撤廃・緩和等に関する要望』(18分野 886項目)を取りまとめた。同意見書については、行政改革推進委員会終了後、直ちに、豊田会長、今井副会長、飯田委員長代行が橋本総理に直接建議するとともに、11月1日には飯田委員長代行が、行政改革委員会の飯田庸太郎委員長に手交し、実現方を要望した。

規制の撤廃・緩和等に関する要望〔概要〕

基本的な考え方

  1. 規制緩和について
  2. 経済構造改革の梃子として規制緩和を位置づけた上で、特に下記の事項等を要望
    1. 現行『規制緩和推進計画』の最終改定となる来年3月末の計画改定において、計画内容の大幅拡充。改定後は、現行推進体制を評価・分析した上、98年度以降の新たな推進体制を構築
    2. 民間事業者による規制緩和措置の活用を促進するため、規制緩和措置の詳細に加え、その活用事例、規制緩和により可能となる事業機会、予測される市場規模等規制緩和の経済効果に関する情報を内外に提供
    3. 規制行政の実質的な根拠となっている政省令の制定手続きの整備(例えば、審査権を国会に留保、制定・定立過程への関係者の参加、原案への意見提出権の確立等)

  3. 申請等の負担軽減について
  4. 許認可等の申請に関して、申請書記載事項の簡素化・統一化、添付書類の削減・統一化、押印の必要性の見直し等を進めることは、申請者の事務的・経済的負担の軽減に繋がるだけでなく、電子化・ペーパーレス化の条件整備となるとの認識に立って、特に下記の事項を要望
    1. 『規制緩和推進計画』において、規制緩和措置と申請等の負担軽減措置を峻別。負担軽減措置については新たな基準を設定(例えば、申請書等の様式・添付書類の統一、変更届出手続の簡素化、押印の必要性の見直し等)し強力に推進
    2. 情報公開法(仮称)の制定を機に、行政機関の情報収集活動についての手続的規定を整備(例えば、調査対象者に、調査目的、根拠規範、任意調査・強制調査の別、調査結果の公表方法等を事前告知。非公開を約束して調査を行う場合、事後に約束の存在を証する方法を規定する等)

  1. 規制緩和要望
  2. 17分野 699項目 うち新規 411項目
    特に優先的に実現すべき事項は以下の通り。

    1. 農 業
      • 新食糧法運用面での規制緩和(選択的減反制度の徹底、米穀流通に係る規制緩和の徹底、自主流通米の入札取引の改善等)
      • 農産物価格支持制度等の見直し(小麦、ビール大麦、加工原料乳・乳製品、てん菜・さとうきび、でん粉、豚肉等)
      • 農業生産法人の構成員要件の見直しなど農地保有に係る規制緩和

    2. 運 輸
      • 車検制度の見直し
      • 貨物鉄道事業の運賃に係わる規制緩和
      • 内航海運業における船腹調整事業および運賃協定の見直し
      • 国内航空分野における参入規制の見直し

    3. 金融・証券・保険
      • 業務分野規制の見直し(信託・証券子会社の業務範囲等の見直し、金融持株会社制度の創設)
      • 企業年金に係る資産運用規制の緩和
      • 証券業の免許制から登録制への移行
      • 株式委託手数料の自由化
      • 外国為替管理制度の抜本的見直し

    4. 医療・福祉
      • 営利法人による病院等の経営の解禁
      • 医療等に関する情報公開規制の緩和
      • 医療法人の理事長資格制限の緩和
      • シルバーマーク制度の見直し

    5. 教 育
      • カリキュラム編成の弾力化
      • 教材選択の弾力化(教科書選択の自由度の拡大ならびに副教材の届出制への移行)
      • 遠隔教育の実施

    6. 土地・住宅
      • 土地取引規制に係わる規制の見直し(土地取引届出制度に関する事後報告制の導入等)
      • 住宅輸入の促進に係わる規制緩和(建築資材の相互認証および規格・基準の国際的整合化の推進、新素材・新工法の導入を容易にする認定制度の見直し、技術進歩や海外との防火思想の違いに配慮した木造住宅における建材の構造規定の緩和等)
      • 工場立地に係わる規制の見直し(工業(場)等制限法の抜本的見直し、工場の緑地の敷地面積に対する割合の緩和等)

    7. 情報通信
      • 事業者区分(第一種・第二種)の見直し
      • 料金・約款認可制の緩和、プライスキャップ制の導入

    8. 雇用・労働
      • 民間有料職業紹介事業の自由化、労働者派遣事業の自由化
      • 女子保護規定の見直し
      • 裁量労働制の適用範囲の拡大

    9. 経済法規・会計
      • 合併・分割法制の整備
      • 自己株式取得・保有に関する規制緩和
      • 借地借家法の見直し(定期借家権の創設)

    10. 競争政策
      • 純粋持株会社の解禁
      • 大規模会社の株式保有規制の撤廃・緩和
      • 合併の事前届出の緩和

  3. 申請等の負担軽減関係
  4. 16分野 187項目 うち新規 152項目

くりっぷ No.43 目次日本語のホームページ