経団連くりっぷ No.46 (1996年12月26日)
WTOスタディ・グループ(座長 櫻井 威氏)/12月9日〜13日
WTOシンガポール閣僚会議に関して経団連とUNICE(欧州産業連盟)で共同声明を発表
貿易投資委員会のWTOスタディ・グループの代表は、12月9日〜13日にシンガポールにおいて開催された第1回WTO閣僚会議にオブザーバーとして参加した。また、12月12日には同地にて日米欧三極民間経済団体会合を開催し、同閣僚会議の成果をレビューするとともに、今後のWTOの機能強化の方策等をめぐり意見交換を行なった。
- 日米欧三極民間経済団体会合の模様
- 同会合には、わが国より経団連、欧州よりUNICE(欧州産業連盟)、米国よりNAM(全米製造者協会)が参加し、WTO閣僚会議の主要なテーマである(1)情報技術協定、(2)UR合意時に期限が設定されているサービス分野交渉(ビルトイン・アジェンダ)、(3)新しい貿易課題(投資、環境、労働基準等)などをめぐり、産業界の立場から意見交換を行なった。
- この結果をふまえて、日米欧三極の民間経済団体による共同声明の作成作業を試みたが、米国側が(1)貿易と投資に関する検討はOECDのMAIを中心に行なうべき、(2)ILOを主管とした労働基準の検討は歓迎できない等の理由から共同声明への参加を辞退した。その結果、経団連と欧州産業の連名で12月13日に以下のような共同声明を発表した。
- 経団連・欧州産業連盟共同声明骨子
(全文は経団連ホームページに掲載)
- ウルグアイ・ラウンド(UR)合意の完全実施および同合意の中の電気通信や金融サービス等の分野の今後の作業プログラムの再確認は極めて重要である。
- 各国政府のWTO規則の遵守およびWTOの手続きに則った紛争処理解決への決意を歓迎する。
- シンガポール閣僚会議での合意の中では、特に以下の点を歓迎する。
- WTOの加盟国を速やかに真にグローバルなものとするとの意思。
- WTO協定の完全かつ効果的実施に向けたコミットメントの再確認。
- 投資、政府調達、競争等の問題のWTOの作業計画への組み入れ、および「貿易と環境」、地域経済統合のWTOの整合性に関する作業継続の決定。
- 広範な製品をカバーし多くの国々の参加を目指した、情報技術関連製品の貿易に関する閣僚宣言。
- 重要な労働基準に関するILOでの作業を支援するとの決定がなされたこと。
- 我々は、引き続き今後の展開を注視していくとともに、貿易・投資の自由化に向けたあらゆる努力を共同で支援していくことを決意した。WTOを通じた、多角的な自由化は、日欧の経済界・産業界だけのためのものではなく、世界全体のビジネスの利益に繋がるものであると確信する。
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