産業毎の環境自主行動計画/12月17日
97年は環境の年と言われており、2000年以降の地球温暖化対策を検討する気候変動枠組み条約第3回締約国会議をはじめ環境をテーマとした重要な国際会議が開催される。そこで経団連では、経済界としての自主的取り組みを基本とした環境問題への真剣な取り組みを一層明確にするために、産業毎の環境自主行動計画を取りまとめ発表した。
この行動計画は、1991年に策定した経団連地球環境憲章をより具体化するため、経団連が96年7月に発表した、21世紀の環境保全に向けた自主行動宣言としての「経団連環境アピール」に沿って、「地球温暖化対策」「廃棄物対策」「環境マネジメントシステムの構築」「海外での事業展開にあたっての環境配慮」の4点について個別業界毎に具体的目標や対策を明らかにしたものである。
経団連の呼びかけに応えて、計画を提出したのは業種としては29であるが、化学や建設などのように、上部団体が業種全体としてとりまとめている場合もあり、本計画策定に関わった産業団体数では131団体となった。さらに97年3月までに7業種から提出される見込みである。
今回の行動計画の特徴は、第1に製造業・エネルギー産業だけではなく、流通・運輸・建設・貿易・損保など、参加した業種が極めて広いということである。国際的にも産業界が独自に自主行動計画を策定する動きは広がりつつあるが、非製造業が自主行動計画に参画している例はないと思われる。
第2に、温暖化対策と廃棄物対策について極めて意欲的な数値目標を掲げていることである。その結果、参加業種の数、計画の内容のいずれにおいても世界に例を見ないものとなったと考えている。
例えば、地球温暖化対策として、化学業界では、1990年と比べて2010年のエネルギー原単位を90%に低減、鉄鋼業界でもエネルギー消費量を約10%削減するとしている。また、廃棄物対策についても、鉄鋼やビール業界のようにリサイクル率を2010年には99%にするといった内容もある。
この行動計画は定期的にレビューすることとなっており、さらに多くの産業に参加いただけるように働きかけていく。また、来年3月の最終発表までに、産業毎の行動計画の結果として、産業界全体としてどの程度の成果が得られるか、長期的な分析を実施する予定である。