国土・住宅政策委員会(共同委員長 田中順一郎氏)/5月9日
密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律は、阪神大震災の経験に鑑み、大規模地震時に市街地大火を引き起こすなどの危険のある密集市街地の整備を総合的に推進するものである。三大都市圏に集中するこれら密集市街地を都市計画において防災再開発促進地区として設定し、他に講じられる防災施策と連携して効果的な再開発を促進する。具体的には
都市計画法および建築基準法の改正案は、土地の有効利用を通じ、良質な共同住宅の供給促進を図り、職住近接の都市構造を実現するため、高層住宅に係る容積率インセンティブ等に関する制度の創設および共用通行部分の容積率制限からの除外の措置を講じるもので、高層住宅に係る容積率インセンティブに関する制度は国会での成立後3月以内に、共用通行部分の容積率制限からの除外措置は、国会での成立後、即日施行する(28頁「掲示板」参照)。これと併せて、都心居住の着実かつ効果的な推進のために、
行政改革の流れの中では住宅金融公庫の再編・合理化が問われている。建設省としても
また規制緩和の流れの中で、建築資材の相互認証についても急速に進みつつある。さらには建築基準法の抜本的見直しも進行しつつあり、3月の建築審議会答申を受け、
また、良好な市街地形成のために容積率規制の合理化、地域特性に対応した取り組みなどを行なっている。
財政改革論議においては公共事業の抑制が叫ばれているが、97年度も公共投資はゼロシーリングで約3兆円、雇用人口に換算して40万人の減少であった。財政改革は重要であるが、よりよい住環境を渇望する国民のニーズに応えることも重要ではないか。
3月の「担保不動産等流動化総合対策」においては不動産の証券化を進めることとなったが、そこで課題とされたのは不動産を担保とする債権の流動化であって、実物資産の有効利用という観点は薄かった。建設省は、今国会に、不動産特定共同事業法の一部改正案を提出し、投資の専門家に対する不動産の有効利用に向けた投資を促進することとしたが、今後も新しい経済環境の中で土地・住宅政策を見つめ直したい。