経団連くりっぷ No.59 (1997年 7月10日)

経団連意見/6月20日

政府開発援助(ODA)予算に関する緊急要望を発表


わが国行財政改革が急務となる中、経団連では、4月15日に意見書「わが国政府開発援助(ODA)の改革に関するわれわれの考え」を政府、関係省庁等に建議し、限られた予算の中でいかにして効率的に援助を実施し、質の向上を図ることができるかとの観点から、具体的方策を提言した。
6月3日、政府は、今後3年間の「集中改革期間」におけるODA予算について、「前年度比10%マイナスの額を上回らない」旨を内容とする「財政構造改革の推進方策」を閣議決定した。
そこでわれわれは、先の意見書を踏まえ、明年度以降のODA予算のあり方について、下記の点に留意すべきことを強く要望する。

  1. 予算編成に際しては、各省庁毎のODA予算をそれぞれ一律に10%削減するという安易な方針をとるべきではなく、むしろ内容の重点化を図り、予算にメリハリをつける必要がある。

  2. すなわち、「顔の見える」援助の推進という観点から、今後ますます重要性を増す無償資金協力、技術協力に係る予算に対して重点的に配分すべきである。
    但し、多省庁が係る技術協力については、業務の重複を排し、効率を高めることが不可欠である。

  3. ややもすると日本の顔の見えにくい国際開発金融機関への拠出ならびに回収金が増加している有償資金協力については、「集中改革期間」中の予算減額はやむを得ないものと考える。

  4. さらに、援助の重点化を図るべきとの観点から、わが国の技術・経験が反映しうる分野について、政策対話を通じて積極的に提案すべきであり、特に地球規模の課題である環境分野のODAの拡充に努めるべきである。

  5. 今次の予算削減の機を捉え、多省庁にまたがり実施されているODA予算ならびに業務を整理統合すべきである。その際、われわれが先の意見書において示した「援助政策の立案と執行の役割分担を明確にし、それぞれの一元化を図るべきである」との案に沿って、早急に推進体制の改革に取り組むべきである。

以 上


くりっぷ No.59 目次日本語のホームページ