経団連くりっぷ No.59 (1997年 7月10日)

資源・エネルギー対策委員会(委員長 篠崎昭彦氏)/6月20日

省エネルギーと新エネルギー開発、
原子力の円滑な推進が不可欠


資源・エネルギー対策委員会では江崎資源エネルギー庁長官を招き、最近のエネルギー情勢と今後の課題について説明を聞くとともに、種々懇談した。

  1. 江崎資源エネルギー庁長官説明要旨
  2. エネルギー政策の基本方針は、
    1. 経済成長
    2. エネルギーの安定供給
    3. エネルギーと環境問題
    という3つの視点の同時達成であるが、最近のエネルギー消費は想定をはるかに上回る勢いで拡大しており、同時達成はかなり危うくなっている。特に、民生・運輸部門の伸びが大きい。

    温暖化対策として、わが国は2000年時点の1人当たりCO2排出量を1990年レベルにすることを約束しているが、1990年の排出量2.59t/人に対し、94年は2.74t/人となっており、目標達成はほとんど至難である。

    総合エネルギー調査会が、エネルギー需給とCO2総排出量の関係をシミュレーションしている。これによると、2030年の炭酸ガス排出量を1990年レベルに抑えるケースの前提は、エネルギー消費の伸びを年率0.7%に抑え、新エネルギーのシェアを現在の1%強から11%まで引き上げ、さらに原子力発電所をほぼ倍増するという極めて厳しいものである。

    かように厳しい状況下、需要面の対策として省エネを強力に推進するため、「総合的な省エネルギー対策」を閣議決定した。各省庁による計画が策定され、各種施策が徐々に実行に移されつつあるところである。経団連の「環境自主行動計画」の遂行は製品の省エネ化など、民生・運輸分野への寄与も大きいと期待されるので積極的な取り組みをお願いしたい。

    供給面では、最大限に新エネルギーの開発・導入を推進するが、例えば太陽光発電のコストは一般電力の4倍、しかも気象等に左右されることもあり、大容量電源にはなりにくい。原子力の円滑な推進のため、原子力への理解を求め、国民の信頼回復に努める。また、電力のコスト削減のため「経済構造の変革と創造のための行動計画」に沿って、半年から1年ぐらいかけて検討する。

  3. 懇談要旨(経団連側の主な発言)
    1. COP3においては、温暖化対策として、原子力を明確に位置づけてほしい。また、省エネは全国民、全産業の理解の下に強力に推進すべきである。

    2. 海外の鉱山開発においては調査段階から参画することが重要であり、政府の支援が望まれる。

    3. 太陽光発電に対する助成金制度は今後も継続する必要がある。


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