資源・エネルギー対策委員会(委員長 篠崎昭彦氏)/6月20日
温暖化対策として、わが国は2000年時点の1人当たりCO2排出量を1990年レベルにすることを約束しているが、1990年の排出量2.59t/人に対し、94年は2.74t/人となっており、目標達成はほとんど至難である。
総合エネルギー調査会が、エネルギー需給とCO2総排出量の関係をシミュレーションしている。これによると、2030年の炭酸ガス排出量を1990年レベルに抑えるケースの前提は、エネルギー消費の伸びを年率0.7%に抑え、新エネルギーのシェアを現在の1%強から11%まで引き上げ、さらに原子力発電所をほぼ倍増するという極めて厳しいものである。
かように厳しい状況下、需要面の対策として省エネを強力に推進するため、「総合的な省エネルギー対策」を閣議決定した。各省庁による計画が策定され、各種施策が徐々に実行に移されつつあるところである。経団連の「環境自主行動計画」の遂行は製品の省エネ化など、民生・運輸分野への寄与も大きいと期待されるので積極的な取り組みをお願いしたい。
供給面では、最大限に新エネルギーの開発・導入を推進するが、例えば太陽光発電のコストは一般電力の4倍、しかも気象等に左右されることもあり、大容量電源にはなりにくい。原子力の円滑な推進のため、原子力への理解を求め、国民の信頼回復に努める。また、電力のコスト削減のため「経済構造の変革と創造のための行動計画」に沿って、半年から1年ぐらいかけて検討する。