経団連くりっぷ No.67 (1997年11月27日)

評議員懇談会(座長 齋藤評議員会議長)/11月7日

税制改革、コーポレート・ガバナンスのあり方について懇談


評議員約60名の出席を得て、評議員懇談会を開催した。当日は、齋藤議長、豊田会長から挨拶があった後、2つの分科会に分かれて、税制改革、コーポレート・ガバナンスのあり方について経団連の取り組み等をめぐって懇談した。

  1. 全体会議
    1. 齋藤議長挨拶
    2. グローバルな競争が激しさを増すとともに、超高齢化社会の到来が迫っている中で、わが国経済社会システムの改革は避けて通れない課題である。そのような改革には痛みが伴うものであり、経済界はもとより国民一丸となって、その痛みを乗り越えていかなければならない。景気の先行きに不透明感が増してきていることも相まって、ややもすると改革の決意が揺らぎがちであるが、経団連としては、そのようなことがないように、改めて改革の必要性を訴えるとともに、改革の徹底とスピードアップを図っていかなければならない。また、経済界としては、各論反対を慎み、構造改革の推進に積極的に取り組む必要がある。

    3. 豊田会長挨拶
    4. 景気の閉塞感を払拭し、わが国経済を活性化するためには、あらゆる分野において抜本的な改革を断行する必要がある。そこで、新内閣の発足を受け、さる9月18日、橋本総理を訪ね、6大改革をはじめ内政外交にリーダーシップを発揮されるようお願いするとともに、経済の活性化を図る観点から、
      1. 規制緩和の推進、
      2. 法人税制改革の推進、
      3. 土地流動化・有効利用の推進、
      を要望した。
      われわれとしても、経済情勢にいたずらに悲観的になるのではなく、徹底した自己責任原則の下、改革に伴う痛みを乗り越えながら、自らの努力で活性化への道を切り拓いていくことが重要である。民間経済界が改革に主体的に取り組むことにより、国民の間にある不透明感を払拭し、21世紀に向けて明るい展望を開くことができると確信している。諸外国も日本が改革を成し遂げるかどうかに注目している。引き続き改革の推進に邁進していきたい。

  2. 分科会
    1. 第1分科会「税制改革について」(座長:関本副議長)
      1. 前田副会長・税制委員長説明要旨
        経団連では、9月に「法人税制改革に関する提言」を取りまとめ、公表した。具体的には、
        1. 法人課税の実効税率10%引下げ、
        2. 課税ベースの適正化、
        3. 実質減税の確保、
        を求めている。また、10月には、法人実効税率の40%への引下げならびに実質減税の実現が経済界全体の一致した要望であることを示すべく、「経済五団体共同提言」を取りまとめ、橋本総理に申し入れを行なった。
        今後、経団連としては、自民党ならびに政府税調の動きを睨みながら、機動的に対応し、ぜひとも法人実効税率の10%引下げへの道筋をつけたい。

      2. 懇談要旨
        課税ベースの適正化をめぐって、各業界における実情等の紹介があった。また、納税者番号制度の導入を求める意見もあった。最終的には、経団連提言に沿って、法人実効税率の大幅引下げ、ならびに実質減税をぜひとも実現するために一致団結して取り組むことが確認された。

    2. 第2分科会「コーポレート・ガバナンスのあり方について」(座長:福原副議長)
      1. 片田副議長/コーポレート・ガバナンス特別委員会座長説明要旨
        経団連では、さる9月に「コーポレート・ガバナンスのあり方に関する緊急提言」を取りまとめ、公表した。具体的には、まず監査体制の強化について、
        1. 社外監査役の要件の厳格化と増員、
        2. 監査役の地位の安定化、
        3. 監査役監査の充実のための会計監査人との連携強化、
        等を提言している。また、株主代表訴訟制度の見直しについては、
        1. 原告適格の見直し、
        2. 会社の被告取締役側への訴訟参加・訴訟支援の容認、
        3. 取締役の損害賠償責任の軽減・免除要件の緩和等、
        4. 経営判断の原則の規定への明記、
        等を求めている。さらに、
        1. 取締役会のあり方、
        2. 株主総会の見直し、
        3. ステークホルダーズとの関係、
        4. ディスクロージャーの充実、
        などについて引き続き検討していくとしている。

      2. 懇談要旨
        上記緊急提言を基に、自民党法務部会商法に関する小委員会が、さる9月に公表した「コーポレート・ガバナンスに関する商法等改正試案骨子」をめぐって議論があった。今後、自民党試案に対する意見作成・提出などを行なうとともに、席上出された意見を今後の検討に活かしていくこととなった。


くりっぷ No.67 目次日本語のホームページ