経団連くりっぷ No.68 (1997年12月11日)

社会保障分野への民活導入が不可欠

−効率的で良質かつ多様なサービス提供を目指して


経団連では、国民負担率増嵩を抑制しつつ、良質かつ多様な医療・福祉サービスを提供するためには、社会保障制度そのものの抜本的改革に加え、民間活力の導入が不可欠であると訴えてきた。

下の表に、高齢者福祉における自治体と民間とのコスト格差を示すが、その差は歴然である。サービス面はおおむね同等でありながら人的費用構造の違いなどにより、例えば、ホームヘルプサービスや入浴サービスについては、一般の民間企業が経営する民間シルバービジネスは市町村の半額以下のコストで、サービスを提供できることがわかる。

今後、安価で良質なサービスを享受できるようにするために、民間事業者の参入を認めるとともに、介護切符(バウチャー)制度の導入等により、利用者がサービスを選択できるようにすべきである。

(関連記事は本文9頁)


高齢者福祉における「公」と「民」とのコスト比較一覧

表1 金額ベースの比較(単位:円)
       サービス内容
主体
ホームヘルプ
サービス
(1時間当り)
入浴サービス
(1回当り)
配食サービス
(1食当り)
老人ホーム
(1人1日当り)
「公」 市町村常勤 5,040 32,400 365,548
「民」 社会福祉法人
(社会福祉協議会)
常 勤 4,422
非常勤 1,648
19,231 1,634 297,243
民間シルバービジネス 2,486 13,931 983 266,664


表2 比率ベースの比較(表1の「公」によるコストを100とした場合)
       サービス内容
主体
ホームヘルプ
サービス
入浴サービス 配食サービス 老人ホーム
「公」 市町村常勤 100.0 100.0 100.0
「民」 社会福祉法人
(社会福祉協議会)
常 勤 87.7
非常勤 32.7
59.4 100.0 81.3
民間シルバービジネス 49.3 43.0 60.2 72.9

* 配食サービスは社会福祉法人のコストを100とした場合の比率
(出典:「高齢者福祉における公立と民間とのコスト比較」地方自治経営学会97年3月)


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